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令嬢は元暗殺者に恋をする
第18章 カイの秘密
「そうですよね」

「エレナさんの言うことも一理ありますもんね」

 カイの回りにいた裏街の男たちは、どこかほっとした口調で声を揃えて言う。

「あとは俺が引き受ける。おまえたちはもう散っていい」

「ところでカイさん、さっきの奴ら見かけたらどうします?」

「放っておけ、女に手を出すような小者だ。実力もたかが知れている。そんな奴らなど、この裏街では生きてはいけない。だが、今度同じようなことをしているのを見かけたら、かまわない」

 カイの細められた瞳の奥に、刃のごとき鋭さが放たれる。

「殺れ」

 男たちは緊張した面持ちでうなずいた。
 そんなやりとりをしている間に、エレナはサラの手を引き家に向かって歩き出してしまった。

 カイは組んでいた腕を解き、腰にあてた。
 シンといい俺といい、何やら面倒ごとをあいつに押しつけられている感じがするのは気のせいだろうか。
 カイはやれやれと肩をすくめ、エレナたちの後に続くのであった。
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