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令嬢は元暗殺者に恋をする
第18章 カイの秘密
「人から大金巻き上げて占いをするなんざ、邪道だ。本当に悩んでいる奴、困っている奴のほんの手助けとして、星が導き出す運命を読み解き、人生の改善法を示してやるのが俺たちの役目。なのに……あいつらはどうかしている。いい気になりやがって」
あいつらとは、貴族に雇われ悠々と優雅な生活に身も心も浸りきってしまっている同業者たちのことをさして言っているのであろう。
何だか私、とんでもなくすごい人と出会った気がするわ。
「……カイにはお弟子さんはいないの?」
「いるように見えるか? 弟子なんてとるがらでもないし、そもそも、俺は占いを生業にするつもりはない」
サラはもったいない……と呟いた。
「それと、わかっているとは思うが、このことは他の奴には言うな。知っているのはエレナとシンだけだ」
サラは口許に両手をあて、うんとうなずいた。
そこへ。
「サラちゃん、仕上がったわ。どう?」
と、言ってエレナはサラの前に服を広げて見せた。
「すごいわ! どこが裂かれていたのかさっぱりわからない」
エレナはうふふ、と笑った。
「私、子どもの時から手先が器用だったから」
「羨ましいわ。私はお裁縫とかとても苦手で……エレナさん、ありがとう!」
「さて、着替えたら、家まで送る」
途端、サラは表情を翳らせた。
「このこと、シンに知られてしまった……よね」
「ああ、とっくにな」
「私、帰りたくない。ううん、帰れない。シンが怖くて帰れない。きっと、怒ってる」
どうしようと小声で声を落とし、サラは顔を青ざめさせる。
そんなサラを、カイはテーブルに頬杖をついてじっと見つめる。
「そうだな」
「ねえカイ、今日はサラちゃんにうちに泊まってもらったら? もう日も暮れてきたし、サラちゃんも疲れていると思うの」
エレナの提案にサラはぱっと表情を明るくさせる。
が……。
あいつらとは、貴族に雇われ悠々と優雅な生活に身も心も浸りきってしまっている同業者たちのことをさして言っているのであろう。
何だか私、とんでもなくすごい人と出会った気がするわ。
「……カイにはお弟子さんはいないの?」
「いるように見えるか? 弟子なんてとるがらでもないし、そもそも、俺は占いを生業にするつもりはない」
サラはもったいない……と呟いた。
「それと、わかっているとは思うが、このことは他の奴には言うな。知っているのはエレナとシンだけだ」
サラは口許に両手をあて、うんとうなずいた。
そこへ。
「サラちゃん、仕上がったわ。どう?」
と、言ってエレナはサラの前に服を広げて見せた。
「すごいわ! どこが裂かれていたのかさっぱりわからない」
エレナはうふふ、と笑った。
「私、子どもの時から手先が器用だったから」
「羨ましいわ。私はお裁縫とかとても苦手で……エレナさん、ありがとう!」
「さて、着替えたら、家まで送る」
途端、サラは表情を翳らせた。
「このこと、シンに知られてしまった……よね」
「ああ、とっくにな」
「私、帰りたくない。ううん、帰れない。シンが怖くて帰れない。きっと、怒ってる」
どうしようと小声で声を落とし、サラは顔を青ざめさせる。
そんなサラを、カイはテーブルに頬杖をついてじっと見つめる。
「そうだな」
「ねえカイ、今日はサラちゃんにうちに泊まってもらったら? もう日も暮れてきたし、サラちゃんも疲れていると思うの」
エレナの提案にサラはぱっと表情を明るくさせる。
が……。

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