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令嬢は元暗殺者に恋をする
第20章 告白
「というか、えっと……そんな重要そうなこと、私に話してしまっていいの?」

「サラだから言うんだ」

 一拍の間をおき、シンはさらに続けて言う。

「今から俺が言うことをよく覚えておけ」

 シンは真面目な顔でサラを見る。
 サラもうん、とうなずいた。

「この先、どうしても自分で解決できない困難にぶつかった時は、あいつを頼るといい」

「カイに?」

「あいつならきっとサラを助けてくれる。予測する最悪の事態を避け、未来をいい方向に導いてくれる。それに、あいつの繋がりは、実は表も裏もすごい。それも含めて間違いなく力になってくれるはずだ」

「ねえ、どうして私のためにそこまでしてくれるの?」

 シンの紫の瞳がじっとサラを見つめ返す。

「サラには幸せになって欲しいと思っている」

 シンの突然の告白に、サラはきょとんとして目を瞬かせた。

「サラのことが好きだから」

 互いに見つめあう二人の間に、沈黙が落ちる。
 皮むきをしていたサラの手もぴたりと止まったまま。
 シンの真剣な眼差しに縛られてしまったかのように、そのまま硬直している。

 本当はどうしようか迷っている。
 自分の心に正直になるべきか、抑えるべきか。
 だけどこの迷いを吹っ切り、サラを自分のものにしたいと思ったそのた瞬間から、俺は間違いなくとまらなくなる。
 どんなことをしてでも、サラの心を手に入れようとする。
 たとえ、彼女を困らせるようなことになったとしても。

 さあ、サラどうする?
 俺の思いをどうやって受け止める?
 あるいは、どうやってかわす?
 答えてみせて。

 よもや、いきなり告白されるとは、少しも思ってもいなかったのだろう、いまだ、呆然としているサラを見つめ、シンは彼女が口を開くのを待ち続けた。
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