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令嬢は元暗殺者に恋をする
第20章 告白
 まあ、いいや。
 焦ることもないか。

 頬杖をついたまま、シンは口許に笑みを浮かべ、必死に皮むきをしているサラを見つめる。

「手、切るなよ」

「わ、わかってる」

「それにしても、ほんと不器用だな」

「うう……それは言わないで。これでも頑張ってるのよ」

「で? 俺のところに来た本当の理由は何? 何か言いたいことがあって来たんだろ? いや、もしくは聞きたいこととか」

 なかなか切り出せずにいるサラにきっかけを与える。
 どうせ、あいつのことだろうことはわかっているけど。
 そして、サラはうん……とうなずいた。

「……実は相談があって」

 あのね……と言いかけたものの、やはり言い出しにくいのか、そのまま口をつぐんで、手の中でじゃがいもを転がしている。
 明るい日差しが差し込む、通りに面した窓の向こうから、子どもたちのはしゃぐ声が聞こえて言った。
 さらに、お喋りに興じる女たちの笑い声も。そして、ここでは好きな男のことで、心をいっぱいにして思い悩む少女。
 何とも平和で穏やかな昼下がり。

 けれど、サラが黙り込んでいたのはわずか数十秒のこと。
 ようやく話す決心がついたのか、サラはついっと顔を上げた。

「ハルに好きになってもらえるにはどうしたらいいと思う? ハルが自分が命をかけてもいいと思える女になったら、私を側においてくれるって言ったの」

 そこまで一気に早口で言い、サラはふうと肩の力を抜いて息をつく。
 シンはサラには気づかせない程度に、苦笑いを浮かべた。

 目の前の相手から好きだと告白を受けたばかりだというのに、違う男の相談を持ちかけるとは残酷なこと。しかし、サラは思う人のことで頭がいっぱいで、シンの気持ちに気づいていないのだから仕方がない。
 というよりも、シンが冗談で好きだと言ったとしか思っていないのだろう。

 ほんと酷だよな。

 しかし、サラの次の発言にシンは目を丸くする。

「私をお嫁さんにしてもいいってハルが言ってくれたの」

「え! 今なんて?」

 がたっと音をたて、シンは椅子から立ち上がり身を乗り出す。

「お嫁さんにしてくれるって……ハルが……」

「あいつがそんなこと言ったのか!」

 サラは頬を朱に染め、恥ずかしそうにうなずいた。
 シンは引きつった顔で笑い、そろりと椅子に座り直す。
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