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令嬢は元暗殺者に恋をする
第22章 夜会へ
「照れてるの?」

「そういうふうに言ってくれる人なんて、今までいなかったもの……」

「俺ならいくらでも言ってあげるのに」

 サラの頬に手を添えたまま、シンは唇を寄せた。

「好きだよサラ。このままどこかに連れ去ってしまいたいくらい」

「だ、だからふざけないでって言ってるでしょう!」

 サラはおもいっきりシンの顔に手をあて、遠ざける。
 シンは肩をすくめた。

 本気なんだけどな、と呟くシンの声はどうやらサラの耳には入っていないらしい。

「ほんとに俺を夜会とやらに連れて行くわけ?」

「そうよ」

「で、俺は何したらいいんだ?」

「てきとうに笑顔を振りまいていたらいいのよ」

「笑顔? そんなことしたら他の女が寄ってくるな」

 サラはじろりとシンを睨みつける。

「うそうそ。俺、サラ以外の女興味ないしっていうか、もしかして妬いちゃったた?」

 だとしたら嬉しいんだけど、とシンはつけ加える。

「冗談はそのくらいにして、さあ、行くわよ」

「お、おう!」

 意気込むように握りこぶしを作り、二人は夜会へと向かうのであった。
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