この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第22章 夜会へ
「別に、あなたのことなんかどうでもいいもの! 何よ、みんなにちやほやされて、だらしがなく鼻の下伸ばしちゃって」

「機嫌悪いな……」

 それに、鼻の下など伸ばしていたつもりはないのだが……と、困ったようにシンは肩をすくめた。

「わかったよ、俺は退散するよ。また、後で様子を見に来てあげるから。それまでにご機嫌直してよ」

 じゃあ、と手を上げサラの側を離れようとする。ところが、歩き出そうとしたシンの足が止まった。

「いたたっ……」

 引っ張られる髪の痛みに顔を歪め、振り返ったシンは言葉を飲んだ。
 自分の髪の毛の先端を握りしめたまま、サラが唇を引き結び、じっとこちらを凝視している。

 シンはわずかにまぶたを落とした。
 群がってくる女たちから、サラのことをいろいろと聞かされた。
 それは、悪口と言っても過言ではなかった。
 貴族の風習にあわない変わり者だから近寄らない方がいい。
 男たちも彼女には近づかない。近づいたとしても、財産目あての不細工な男ばかりだとか。でも、その方が彼女にはあっているとか。

 女性は大好きだが、陰でこそこそ悪辣なことを言う者など、どんなにみてくれが良くてもこちらの方からごめんだ。

 だから、シンもお返しとばかりに、サラがどれだけ可愛くて優しくて、いい娘であるかを散々と語ってやった。
 最後に驚く相手の顔に馬鹿と吐き捨てた。
 もちろん、心の中でだが。

 シンは瞳を揺らした。

 見栄と虚飾にまみれた世界。
 確かに、サラには向いていないのかも知れない。
 華やかな場に溶け込むこともできず、年頃の娘なのに誰かの誘いを受けるわけでもない。
 ましてや、友達とお喋りをするわけでも。
 たったひとり、ぽつりと会場の外のバルコニーで空を見上げて……。

 そんなサラの気持ちを考えると身につまされる。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ