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令嬢は元暗殺者に恋をする
第25章 狂乱の円舞曲
「貴様こんな真似をして、どうなるか……」

「俺を役人につきだすって? いいぜ。やれるもんなら、やってみろ。ただし……」

 相手に得物を突きつけたまま、シンはさらに目を細める。

「獄中でも、死刑台の上でもこの命が途切れるまで声を張り上げて言いふらしてやるよ。俺は剣の名手であるあんたを負かしてやったってね。その頬の傷が何よりの証拠だって」

「くそ……」

 立ち上がり、ファルクは憎悪を漲らせた目でシンを睨みつけて去っていこうとした。

「忘れもんだ! 剣士が剣を忘れていくな」

 シンはファルクの剣を足で蹴り上げた。
 剣は虚空を舞い、ファルクの足元の地面へ突き刺さった。
 忘れかけていた剣をとり、そそくさと逃げ去っていくファルクの背を見つめ、シンは嘲笑を浮かべた。

「相手にもならねえよ」

 とっとと消え失せろ、と吐き捨てる。

「シン!」

 サラは息をはずませシンの元へと駆け寄ると、ぎゅっと抱きついた。

「すごいわ。すごいわ! シンがこんなに強かったなんて!」

「だから言ったろ? 俺、強いって」

「だけど、まさかこんなに強いとは思わなかったし、そんなふうに見えなかったもの」

「俺を信じてって言ったのに、疑ってた?」

「だって、私あんな場面見るの初めてだったし、やっぱり怖かったの。でも、あのファルクを負かしてしまうなんて信じられない。私、シンの戦いに見とれてしまったわ。素敵だったわ!」

 興奮して褒め言葉を連呼するサラに、シンは気恥ずかしそうに頭をかく。

「いやあ、そこまで褒められると……俺、照れるよ」

「ありがとう、シン」

「いや、別にたいしたことしてないし。っていうか、あんまり抱きつかれると……」

 決意が鈍るというか、何というか……と、シンはもごもごと口ごもる。
 サラははっとなって、シンから離れた。

「シン……さっきのことだけど……私のことを……」

 言いづらそうに言葉を濁すサラに、ああ、と言ってシンは緩く首を横に振る。

「忘れて。俺もちょっと感情的になっていた」

 どこかほっとしたように肩の力を抜くサラを見て、シンは複雑な気持ちを抱いた。
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