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令嬢は元暗殺者に恋をする
第3章 あなたのことを知りたい
「僕は今から役人のところへ行く」

「待って。まだ彼がやったと決まったわけではないわ!」

「いや、間違いなくあいつの仕業だ」

「どうして? どうして確かめもしないでそんなことを言うの?」

「それは……! とにかく、あいつには近寄ってはいけない」

「でも、彼は怪我をしている」

 テオは言い聞かせるように、サラの両肩に手を置いた。

「サラ! あいつは危険なんだ。君だって、本当は感づいているはずだ。あいつが僕たち普通の人間と違うってことを」

「普通って何?」

 問いかけるサラにテオは眉根を寄せる。

「頼むから僕の言うことを……」

 けれど、サラは肩に置かれたテオの手を、きつくつかんで引き離した。

「……私が真実を確かめるから」

 だからお願い待って、とテオをとどめた。

 再び部屋に戻ったサラの顔は浮かない。
 無遠慮に投げかける少年の視線から逃れるよう目をそむけ、うつむき加減でベッドの脇に立ちつくす。

 真実を確かめると大言を吐いたものの、いざ少年と向かい合うと躊躇いを覚えた。

 あからさまに聞けるわけがない。
 いや、本当は事件のことを肯定されるのが恐ろしかったのかもしれない。

 思案に暮れるサラの心を見透かすように、少年は肩をすくめた。

「そろそろ、事件の一報が入る頃だ。あんた、俺が殺したのかって聞きたいんだろう?」

 相手の言葉の一撃が、サラの胸を突く。
 何か言いかけようと口を開きかけたものの結局、声にはならなかった。

 言いたかったこと、聞きたかったこと、それら言葉の断片が、思考の渦となって脳裏を駆け巡る。

「そう、奴ら全員俺が殺した」

 淡々と言う少年の声の響きに、罪の意識は感じられなかった。
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