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令嬢は元暗殺者に恋をする
第3章 あなたのことを知りたい
「テオ、入って」
外で待機していた薬師の青年を部屋へと招き入れる。
ゆっくりとした足取りで少年に近づいていくテオの表情は厳しい。
剥き出しの敵愾心に彩られたテオの碧い瞳。
テオは静かにサラの言葉を待った。だが、彼女の答えは見事にテオの期待を裏切った。
「賊を殺したのは彼ではないわ」
少年は緩やかに眼差しを上げた。
サラは震える手でスカートの裾を握りしめる。
嘘を貫き通すなら、もっと堂々たる態度をとるべきであろう。
「今の言葉をもう一度、僕の目を見て言えますか? サラ」
サラは顔を上げた。
据えられてくるテオの視線を真っ向から受け止める。
決して視線を逸らしてはいけない。
動揺を悟られてはいけない。
唇を震わせ、嘘を真実に塗りかえるためにサラは言葉を紡ぐ。
「言えるわ。彼はやってない」
きっぱりと言い切ったサラの態度にテオは首を振る。
もちろん、サラの言葉を信じたわけではないということはその表情からうかがえる。
「そうですか……わかりました」
あきらめたように、テオは肩を落とし静かに部屋を去っていった。
扉が閉ざされると同時に、サラは力が抜けたようにその場に座り込む。
両手を胸の前で交差させ、震える己の肩を押さえつける。
緊張感が弛んだのか震えは止まらない。
いつも私に親切にしてくれたテオに嘘をついてしまった。
あんな怖い顔をしたテオは見たこともない。
でも、後悔はしてない。
外で待機していた薬師の青年を部屋へと招き入れる。
ゆっくりとした足取りで少年に近づいていくテオの表情は厳しい。
剥き出しの敵愾心に彩られたテオの碧い瞳。
テオは静かにサラの言葉を待った。だが、彼女の答えは見事にテオの期待を裏切った。
「賊を殺したのは彼ではないわ」
少年は緩やかに眼差しを上げた。
サラは震える手でスカートの裾を握りしめる。
嘘を貫き通すなら、もっと堂々たる態度をとるべきであろう。
「今の言葉をもう一度、僕の目を見て言えますか? サラ」
サラは顔を上げた。
据えられてくるテオの視線を真っ向から受け止める。
決して視線を逸らしてはいけない。
動揺を悟られてはいけない。
唇を震わせ、嘘を真実に塗りかえるためにサラは言葉を紡ぐ。
「言えるわ。彼はやってない」
きっぱりと言い切ったサラの態度にテオは首を振る。
もちろん、サラの言葉を信じたわけではないということはその表情からうかがえる。
「そうですか……わかりました」
あきらめたように、テオは肩を落とし静かに部屋を去っていった。
扉が閉ざされると同時に、サラは力が抜けたようにその場に座り込む。
両手を胸の前で交差させ、震える己の肩を押さえつける。
緊張感が弛んだのか震えは止まらない。
いつも私に親切にしてくれたテオに嘘をついてしまった。
あんな怖い顔をしたテオは見たこともない。
でも、後悔はしてない。

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