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令嬢は元暗殺者に恋をする
第31章 月夜の蜜会
 どうしたらいいのかわからない。
 逆らえない。
 私がハルを振り回してどうこうしようなんて、無理に決まっているのよ。
 ハルにかなうわけがない。
 どうしよう……身体に力が入らない。
 膝が震えて立っていられない。

 かくりと膝を崩しかけたところで、ハルの手によって支えられた。と、同時にようやく唇が離れる。
 ため息をこぼしサラは頬を上気させ潤んだ瞳でハルを見上げた。

 伏し目がちのまぶた、長いまつげの奥からのぞく藍色の瞳が緩やかに揺らぐ炎の如き加減で妖しく光る。
 開け放たれた窓から柔らかな風が流れ、ハルのひたいに軽くかかった前髪を揺らし、白く整った顔貌が射し込む月に蒼白く照らされる。

 ハルは薄く唇に笑みをはいて、サラの頬に手を添え柔らかな耳朶を軽く噛んだ。
 サラは肩をすぼめ身をよじらせた。

 だめ……このままでは流されてしまう。
 この先はまだいや。怖い……。

 ハルの胸に手をあて絡みついた腕から逃れようと抵抗を試みる。しかし、弱々しいサラの抵抗に従う気配はないようだ。

 それどころか、腰に回された腕に力が込められ引き寄せられる。
 強引さはない。けれど、ここで止めるつもりもないという強固な意志をハルから感じ取り、サラの表情に焦りが生じた。

「お願い。待って……」

 サラはいやいやをするように首を振り、ハルから視線をそらした。

「俺の目を見て」

 再びハルの手があごにかけられたが、サラはさらに深くうつむきその手から逃れる。
 決してハルの目を見ようとはしなかった。

 だめよ。
 あの瞳に見つめられたら、抗えなくなる。
 捕らえられてしまう。

「あんたは俺だけのものなんだろう? 俺のことをもっと知りたいと言った。俺もあんたのことを知りたい」

 噛まれた耳元に吐息まじりの低い声が落ちる。
 紡がれる言葉は限りなく甘く、声の響きさえ、蕩けるほどに甘美なものであった。

 腰が砕けそうになった。
 ハルの手に支えられていなかったら、ぺたりとその場に足を崩してしまっていただろう。

 声まで……この人は声まで人を惑わす魔力を持っている。

 でも、ハルは私に嘘をついている。
 だって……。

「ハルは私に本気ではないのでしょう?」

 やっとの思いでサラは声を発した。
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