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令嬢は元暗殺者に恋をする
第34章 勘違い ※
 暗がりと薄い紗の幕のせいで侍女からはハルの姿は見えないようだが、もしベッドの側まで来てしまったら……。
 ハルの舌がたたみ掛けるように急速に勢いを増し、左右に揺らすように花芽を弄ぶ。
 サラは唇を噛みしめ、何かを我慢するようにきつく目を閉じた。

 いや、だめ。
 何かきそう。


 もう……だめ──っ!


 サラはきつくシーツをつかみ、首を激しく左右に振った。

「も、もう……」

 震えるような声を発するサラに、侍女は首を傾げた。

「眠いの……だから、おやすみなさい!」

「……おやすみなさいませ。サラ様」

 侍女は首を傾げつつも、部屋から退出していってしまった。
 力が抜けたようにサラはベッドに倒れ込む。

「ハル……お願い。もう……許して」

 サラはいやと首を振り、弱々しい声でハルに懇願する。
 ハルの手と唇が秘部から離れたと同時に、サラはほっとしたように大きく息を吐く。
 ハルはびしょびしょに濡れた指を口に含んだ。

「残念。あともう少しでイきそうだったのにね」

 ハルの唇が耳に寄せられた。

「次は、きちんとイかせてあげるからね」

 侍女の出現に驚いてしまい、身体の疼きも一気に吹き飛んでしまった。
 何か来そうだった感覚もすでに消えてしまっている。

 こちらが焦ったり驚いたりしているというのに、ハルは相変わらず涼しい顔であった。

 私、やっぱりハルにはかなわないわ……。

 身を起こしたハルに腕を引かれ、サラは起き上がった。
 立ち上がった瞬間、軽い目眩に襲われ足下をふらつかせた。すぐに目の前のハルにしがみつく。

 何だか一晩でいろいろなことがありすぎて、頭の中がもういっぱいであった。
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