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令嬢は元暗殺者に恋をする
第35章 遠い地、レザン・パリュー
「えっと、知り合いにちょっとお勉強ができる人がいて……学問所とはぜんぜん関係ないと思います……」

「サラ様!」

「な、何!」

 いきなり、マイネラー先生は襲いかからんばかりの勢いでサラの肩をわしりとつかみ、大きく揺さぶった。
 サラの首が前後に激しく揺れる。

「その方をわたくしに会わせては頂けませんか? どんなお方か、ぜひお会いしてみたい!」

「先生、痛いです……」

 サラの訴えに家庭教師は我に返り、ずり落ちかけた眼鏡を人差し指で持ち上げ、こほんと咳払いひとつして冷静さを取り戻す。

「し、失礼……取り乱してしまいました……」

 真摯かつ切実な目でマイネラー氏はサラの顔をのぞき込む。
 余程興奮しているのか、蒼白い顔を上気させて。
 サラは困ったように教師から視線を逸らした。

「先生……それは無理なお願いだわ」

「何故ですっ! あ……いえ……」

 ほんとのことをいえば、私の恋人なの、と自慢して見せつけたいところだが、実際は無理だろう事は承知している。

 ハルがそんなことを承諾するはずもないし、たとえ、マイネラー先生に会ってくれたとしてもハルのことだから、棘だらけの憎たらしい口調で、何をこいつに教えてる? とか、あんた、教えるのへたくそ、とか、しまいには教師、向いてないんじゃない? とか言って、家庭教師の矜持をずたずたに切り裂いてしまいそうな気がしたから。

 ああ……でも、物覚えの悪いこいつにつき合わされて、あんたも気の毒だねって反対に同情する可能性もあるわ。

 昨夜、そんなようなこと言っていたし……。

「あ、あのですね。その人とっても、人見知りをするから……きっと知らない人とは会いたがらないと思うの」

 と、苦しまぎれの嘘をつく。

「そこをなんとか」

 けれど、先生のしつこさも人一倍で、そう簡単に引き下がろうとはしない。

「絶対に無理だわ」

「何とか、一度だけでも」

 な、何?
 私にお勉強教える時よりも熱心だわ!

「とにかく、だめったらだめなの!」

 と、大声を上げて立ち上がり、サラは口を開けて唖然とする教師を睨みすえた。
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