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令嬢は元暗殺者に恋をする
第35章 遠い地、レザン・パリュー
サラも椅子から立ち上がり、ハルの側に向かい合うようにして座り込む。
触れ合うには遠すぎて、かといってわざと距離を置いたわけでもなく、もっと、近づいてもいいのか、それとも、このままの距離を保つべきか、そんな、曖昧な間隔であった。
部屋の中は文机に灯された蝋燭一本だけ。
それでも月が明るいから、互いにどんな表情をしているかくらいは確かめることはできた。
サラは胸一杯に大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。そして、側に座っているハルの姿に視線を向けにこりと微笑む。
ずっと、焦がれていた相手がすぐ側にいる。
思い描き夢見た光景に、願いの一つが本当に叶ったのだとあらためて幸せを噛みしめる。
じっと見つめてくるサラの視線に気づきハルは顔を傾けた。
「何?」
「夢みたい」
「夢?」
「こうしてハルと一緒にいられるなんて、夢みたい」
ハルは笑ってサラの前に手を伸ばした。
「おいで」
「……うん」
ハルのしなやかな指先に自分の手を重ね、サラは相手の側へと近寄り座り直した。
肩を抱かれ引き寄せられる。
サラはこつりとハルの肩に頭を寄り添えた。
触れ合うには遠すぎて、かといってわざと距離を置いたわけでもなく、もっと、近づいてもいいのか、それとも、このままの距離を保つべきか、そんな、曖昧な間隔であった。
部屋の中は文机に灯された蝋燭一本だけ。
それでも月が明るいから、互いにどんな表情をしているかくらいは確かめることはできた。
サラは胸一杯に大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。そして、側に座っているハルの姿に視線を向けにこりと微笑む。
ずっと、焦がれていた相手がすぐ側にいる。
思い描き夢見た光景に、願いの一つが本当に叶ったのだとあらためて幸せを噛みしめる。
じっと見つめてくるサラの視線に気づきハルは顔を傾けた。
「何?」
「夢みたい」
「夢?」
「こうしてハルと一緒にいられるなんて、夢みたい」
ハルは笑ってサラの前に手を伸ばした。
「おいで」
「……うん」
ハルのしなやかな指先に自分の手を重ね、サラは相手の側へと近寄り座り直した。
肩を抱かれ引き寄せられる。
サラはこつりとハルの肩に頭を寄り添えた。

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