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令嬢は元暗殺者に恋をする
第35章 遠い地、レザン・パリュー
 ああ……私って本当に何も知らないのだわ。
 自分の国のことだってちゃんとわかってないもの。
 恥ずかしいかも。
 でも、ハルには親がいないと言っていた。そして、そういった子どもたちが回りにたくさんいたと。

「さあ、詳しいことは私にはわかりませんが、そうですね、一年の大半が雪に閉ざされた土地と聞いて寂しいところと連想させますが、どの国の王宮もとても立派で、町並みもそれはとても見事で美しいと聞いたことはありますよ。治安はどうでしょう、この国だって決して良いとは言いきれないですし、もっとも、実際に私がこの目で見たわけではないので何とも言えませんが」

 サラは手元の紙に、今聞いたばかりのレザンの国名を書き記していく。

「そうだわ。先生はレザンの言葉を知っている」

「残念ながら」

「そう……」

「サラ様? おそらく、レザンの言葉を理解し話せる者はアルガリタの学問所でも数少ないでしょう。けれど、その者たちはおそらく、自分がレザンの言葉を理解できるとは決して口にしないはずです」

「え? 何故?」

「レザンにかかわりを持つことを恐れているからです」

 突然表情を険しくさせたマイネラー先生に、サラは首を傾げる。

「今から三年ほど前でしょうか……」

 真剣な顔で語り始めた家庭教師の言葉に、サラはじっと耳を傾けた。

「当時、レザンのある秘密を調べようと数十名の学者が学問所に集まりました。が、研究に携わった者すべてが殺害され、レザンに関する資料がひとつ残らず燃やされてしまいました。たった一晩で、ものの見事に何もかも消されたのです」

「殺害、燃やされた? 誰に?」

 思わず身を乗り出したサラに、マイネラー氏はさあそこまでは、と首を振る。

「その事件のあった年、レザンの人間が二人、学問所の試験を受けたのです。ひとりはまだ十四、五歳ほどの少年と、もうひとりは二十歳前後の青年。アルガリタの学問所はご存じの通り、人種も身分も性別も関係なく、試験に合格できたものはその門をくぐることができ学問を習うことができます。その二人は異国の者でありながらも見事試験に合格し、学問所の生徒となりました。けれど……」

 家庭教師は眉間に深いしわを寄せた。
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