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令嬢は元暗殺者に恋をする
第38章 レザンの暗殺者
「組織に捕らえられた瞬間からずっと、俺はいつかここから抜け出し自由になってみせると心に誓った。そのためにはと、子どもの頃から俺の面倒をみてくれた人に何度も言い聞かされた」

「さっき言っていたハルのお師匠様ね。ハルが組織から逃げ出すためにいろいろしてくれた人」

「そう、外の世界を望むのなら、何よりもまず、誰をも凌ぐ力を身につけなさい。全力で追ってくる追跡者を、自力で退けるだけの強さを手に入れなさい。そして、人としての心を失ってはいけないと……こうして俺がここにいられるのも、その人のおかげだ」

「その人はとてもハルのことを大切に思っていたのね。ねえ、その人の名前は何て言うの?」

「レイ……」

 おそらく、そのレイという人のことを思いだしているのだろう。
 ハルはどこか懐かしむような目を夜の虚空にさまよわせた。

「ハル……」

 ハルは組織の人間たちには感情がないと言っていた。
 ただ人を殺すだけの道具だと。けれど、ハルは違う。

「ねえ、逃げよう。組織の人たちが追ってこない、どこか人目のないところに。私も一緒に行く」

 しかし、ハルは首を振った。

「意味がない」

「どうして!」

「どこへ逃げても意味がない。これまで追っ手がなかったのは、組織を抜ける時にレイがいろいろ根回ししてくれた。俺はレイに殺されたと、組織のやつらは思い込んでいるはず。だけど、そのことをいつまでも隠し通せるほど組織は甘くはない。きっと、いつかばれてしまう。そうだ……」

 と、声を落としてハルはシャツのボタンに手をかけ、ゆっくりとひとつひとつ外していった。

 すべてのシャツのボタンを外したハルは、左の片袖だけを腕から抜いた。
 するりとシャツの片袖が肩をすべり床に落ちる。
 突然のハルの行動にサラは反応に困ってうろたえる。
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