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令嬢は元暗殺者に恋をする
第38章 レザンの暗殺者
 目のやり場にとても困るのだけれど。でも……。
 ハルは顔もきれいだけど、身体も同じくらいすごくきれいで見とれてしまうわ。そういえば出会ってまだ間もない頃、ベゼレート先生の診療所で裸のハルに組み敷かれたことが……。

 そんなことを考えた途端、急速に頬が熱くなった。
 恥ずかしさに、視線をそらしたいのに、相手の体温が伝わってくるほどの間近の距離では視線を逃す場所すらない。否、ハルの身体から目をそらすことができなかった。
 鍛えられた筋肉質な身体はごつごつした男くさい逞しさや堅さはなく、しなやかな美しさ。おまけに肌は繊細で女性のように滑らかだ。

 窓から差し込む月華がハルの素肌を舐めるように艶めかしく照らしだす。
 ふと、サラはハルの左上腕部に視線をとめ、わずかに目を開く。

「腕、どうしたの? まだ怪我が治っていないの?」

 そこには黒い布が巻きつけられていた。

「痛むの?」

 心配げな、気遣うような目でじっとハルの左腕を見つめるサラに、ハルは怪我ではないと静かに声を落として首を振る。
 怪我ではないのなら、この布は何のために巻いているのか。

 サラはおそるおそるハルの左腕に巻かれている布の結び目に指をかけ、見てもいいの? と目顔で問いかける。
 答えるかわりに、ハルはかすかに眉間を寄せ静かに視線を伏せた。
 結び目はそれほどきつくはなく、すぐに解けた。
 解けた布が腕からはらりと滑り落ちていく。そこに現れたのは、花の模様の入れ墨であった。

「これは……?」

 サラはそっとハルの腕の入れ墨に手を触れた。

「レザンの、銀雪山の頂上にしか咲かない悪魔の花」

「悪魔の花……」

「レザンの暗殺者は身体のどこかにこれと同じ入れ墨をいれている。酔狂なことに、中にはわざと目立つ場所にいれている者も。これが何を意味するかなど知る者はほとんどいない、だから隠す必要もない。もし、知っている者がいたとすれば、その相手を殺すだけ」

「つまり、もし、ハルと同じこのお花の入れ墨をしている人を見かけたら、その人はレザンの組織の人ということね」

「そう、よく覚えておいて。万が一見かけたとしても表情には出すな。そいつと決して目を合わせるな。わずかな動揺でも相手にすぐ見抜かれる。そうなったら、間違いなく殺される。絶対に逃げられない」

 サラはごくりと唾を飲みうなずいた。
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