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令嬢は元暗殺者に恋をする
第39章 近づいていく二人の距離
「俺は傷ついたうさぎを腕に抱きしめながら泣いている小さな男の子を偶然見かけた。うさぎの怪我はたいしたことはなく、たんなる擦り傷だった。傷によく効く薬草を見つけ、男の子を安心させつつ手当をしてやった。そして、その子を森の出口まで送っていこうと。だがその時、突然、賊が現れ矢を放ってきた。とっさに、放たれた矢から男の子をかばったが、俺自身、肩に矢を受けてしまった。すぐにわかったよ。鏃にかなりの猛毒が仕込まれていたことに。たかが賊相手に油断していた。毒の耐性はあるからそれで命を落とすことはない。が、毒の種類によってはまったく無事でいられるというわけではない」

 そこで、ハルは自嘲めいた薄い笑いを浮かべた。

「あの頃なら油断なんて絶対にあり得ないし、決して許されないことだったのにね……」

 ハルが言うあの頃とは暗殺者として組織で動いていた時のことだ。
 けれど、たかが賊だとハルは簡単に言うが、相手は二十人以上もいたのだ。
 それら多数の賊を相手にひとりで立ち向かうことじたい普通では考えれないことなのに。

「瞬く間に大勢の賊に囲まれてしまい、俺はその子どもを助けるため奴らと戦った。だが、あの子どもがいる前では本気で剣を振るうことができなかった。あの子を怯えさせるわけにはいかないと思ったから。毒のせいで朦朧としていく意識と傷の痛みで俺は悪魔の花の薬を飲んだ。刺激剤だ。一度体内に入れるとしばらく花の匂いが身体に染みついて消えない。それが、あんたが言っていた甘い香りだ。そして、子どもの姿が見えなくなった後、俺は賊たちを……」

 殺した──。
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