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令嬢は元暗殺者に恋をする
第40章 しるし
「まだ寂しいの?」

「うん……」

 しがみついていた手を解かれ、両手首をつかみ取られる。
 薄い夜着から少しだけのぞく胸元にハルの唇が寄せられた。
 突然のハルの行動に声も出せずにいた。
 寄せられたハルの唇で胸元を軽く吸われ、驚いて反射的に身を引こうとする。が、きつく両手首をつかまれた状態では逃げることができなかった。

 思いっきり振り切れば、ハルはすぐに手を離してくれるだろう。
 けれど、そうはしなかった。
 嫌ではないから。

 軽く唇を噛む。
 ハルが求めてきたなら、逃げずに応えようと決心した。
 だから、怖くなどない。けれど、身体の震えを押さえることができなかった。
 唇を離したハルがちらりと上目遣いで顔を上げ、つかまれた両手首が静かに離された。
 支えを失った手が力が抜けたように、ぱたりと床に落ちる。

「泣きそうな顔。怖がらせてしまった?」

「平気……驚いただけ」

 ハルの唇があった胸元に視線を落とすと、そこにかすかな赤い印がついていた。

 それはまるで小さな花びらのようだった。
 熱を持ったそこに、ハルの指先があてられる。 

「俺のことを思いながら眠るといいよ。起きたらまたすぐに会える」

 だから寂しがらないで、と頬をなでられた。

「これ……」

「安心して、すぐに消える」

 添えられたハルの手に、サラは自分の手を重ねた。

「何だか消えるのがもったいない」

「跡は残せないだろう」

「でも、私はハルのものって感じで嬉しい。ねえ、見えないところに欲しい」

 ハルは一瞬だけ目を見開いた。そして、肩を軽く揺らして含み笑う。

「あんた今、ものすごいこと言ったの気づいてる? 俺のほうがどうしたらいいか困ってしまうよ」

「だって、嬉しかったから」

「それで、見えないところって、どこ?」

 意地悪く問いかけられているとも気づかず、サラは眉を寄せ真剣に考え込んでいる。

「肩とか腕? だめだわ、着替えの時に見られてしまうし入浴の時も……ほんとうは着替えも入浴もひとりでできるのよ。だけど、なかなかそうさせてもらえないの」

 またしてもサラはうーんと唸り、やっぱり無理ね、と声を落とすと、残念そうな顔で胸元の印に手を添えた。
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