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令嬢は元暗殺者に恋をする
第41章 名前を呼んで
「あのね、遊んでいたのではなくて剣の稽古をしていたのよ」

「稽古?」

 ハルは芝生の上に置いてあるサラの短剣を一瞥して、ふっ……と、視線を斜めに落として笑った。
 それも口許を歪めて薄く。

「な、何? 今のそのふっ、て笑いは何?」

「別に」

「別にって、すごく感じ悪かったわよ」

「気のせいだよ。それにしても剣の稽古って何のつもり?」

「それはもちろん、少しでも強くなって自分の身くらい自分で守れるようになろうと思ったの」

「あんたもほんとに変わってるね」

 サラは首を傾げ、じっとハルを見上げた。

「何?」

「ねえ、名前では呼んでくれないの? できればサラって言ってくれたら嬉しいな」

「いやだ」

 即答であった。

「またいやなの? どうしていやなの? 名前で呼ぶだけよ」

「照れくさいから」

「……」

 サラは大きく目を開き、ぱちぱちとさせた。

 今、何て言ったの?
 ハルが照れくさいって?
 うそでしょう。

 意外なハルの一言にサラの方が何故かうろたえてしまう。
 でも……。

「照れくさいって、そんな真顔で言われても……」

 それに全然、照れている感じには見えないし。

 サラはうーん、と首を傾げた。
 が、ちょっとした悪戯心がわいてきたのか、サラはにこりと笑ってハルにつめより上目遣いで見上げた。

「でも、昨夜は名前で呼んでくれたでしょう? 照れないで言ってみて? ね、ほら」

 思わず調子に乗ってハルの両腕をつかむ。

「サラって呼んで」

「いやだって」

 一歩足を後ろに引いたハルを背後の木に押しつける。
 何だかハルを追いつめている感じで、サラの心に優越感がむくむくと込み上げてきた。

 これまでハルに冷たくされたり、意地悪されたり、どきどきさせられたりしたのだ。
 少しくらいハルを困らせてみたい、戸惑うハルの反応をもう少し見てみたいと思ってしまった。

「ねえ、私の目を見て言ってみて」

「あんたもしつこい」

 と、声を上げると、ハルはふいっと横をむいてしまった。
 その顔はどこか赤い。
 サラの胸がきゅんと鳴った。
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