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令嬢は元暗殺者に恋をする
第42章 お出かけ
「どうしてこんなところに立っているの?」

 首を傾げて問いかけてくるハルに、サラは近寄ることができなかったとも答えられず、何でもないのと頭を振った。
 ハルの視線が買ってきたパイに向けられる。

「ちゃんと買えたね」

「初めて町でお買い物した。おつりもちゃんともらえたわ」

「そう」

 ハルの手が頭にぽんと置かれた。そして、まるで小さな子どもに、いい子いい子するようになでられる。
 ハルに頭をなでてもらえるのは嬉しいけど、ほんの少し複雑な気持ちがした。

「元気ないの?」

「ううん……そんなことない」

「おいしそうな匂いがする。温かいうちに食べよう」

「うん」

 ちらりとハルに群がっていた女の子たちに視線を向け、再びうつむくサラのあごにハルの指先がかけられた。
 近づいてくるハルの唇に、まさかと胸がとくんと鳴る。
 思わず、身を引こうとして腕をつかまれてしまう。

「ハル待って、みんなが見て……」
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