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令嬢は元暗殺者に恋をする
第4章 私があなたを守ってあげる
ハルはスプーンを握ったまま硬直していた。
強引に押しつけられた器の中身は湯気のたつ野菜スープ。
具も沢山で確かに豪勢で贅沢なスープであったが、浮かんでいる野菜がどうみても生だった。
ハルは横目で嬉しそうに笑うサラに視線を向け、顔をしかめた。
何で……俺がこんな目に、というより、何でこいつに振り回されなければならないいのだと、納得のいかない疑問が過ぎる。
かたわらではサラが早く食べてという目で急かしてくる。
ハルはスプーンを持つ手にぐっと力を込め、再び器の中身を凝視する。
これを食べるということは、ある意味、勇気のいる行為だと思いつつも、覚悟を決め椀の中にスプーンを入れる。
見るからに生の野菜を避け、スープだけをすくって口に運ぶ。
「まずい、無理」
にべもなく言い捨てるハルに、サラは強い衝撃を受けたというように、あんぐりと口を開けている。
「そんなことないわよ! 失礼ね」
憤慨もあらわにサラはハルの手からスプーンを奪い、自分もスープを一口飲んでみる。
途端、サラは顔をしかめた。
「ほんとだ……」
「ほんとだって……おまえ、味見もせずに俺に食べさせたのか」
「味見ってするものなの?」
と、首を傾げるサラに、ハルはやれやれと肩をすくめる。
「てっきり俺はあんたの味覚が麻痺しているのかと思ったよ」
「ごめんなさい」
すっかり消沈してうなだれてしまったサラを見下ろし、ハルはため息をつく。
強引に押しつけられた器の中身は湯気のたつ野菜スープ。
具も沢山で確かに豪勢で贅沢なスープであったが、浮かんでいる野菜がどうみても生だった。
ハルは横目で嬉しそうに笑うサラに視線を向け、顔をしかめた。
何で……俺がこんな目に、というより、何でこいつに振り回されなければならないいのだと、納得のいかない疑問が過ぎる。
かたわらではサラが早く食べてという目で急かしてくる。
ハルはスプーンを持つ手にぐっと力を込め、再び器の中身を凝視する。
これを食べるということは、ある意味、勇気のいる行為だと思いつつも、覚悟を決め椀の中にスプーンを入れる。
見るからに生の野菜を避け、スープだけをすくって口に運ぶ。
「まずい、無理」
にべもなく言い捨てるハルに、サラは強い衝撃を受けたというように、あんぐりと口を開けている。
「そんなことないわよ! 失礼ね」
憤慨もあらわにサラはハルの手からスプーンを奪い、自分もスープを一口飲んでみる。
途端、サラは顔をしかめた。
「ほんとだ……」
「ほんとだって……おまえ、味見もせずに俺に食べさせたのか」
「味見ってするものなの?」
と、首を傾げるサラに、ハルはやれやれと肩をすくめる。
「てっきり俺はあんたの味覚が麻痺しているのかと思ったよ」
「ごめんなさい」
すっかり消沈してうなだれてしまったサラを見下ろし、ハルはため息をつく。

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