この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第4章 私があなたを守ってあげる
 ハルはスプーンを握ったまま硬直していた。

 強引に押しつけられた器の中身は湯気のたつ野菜スープ。

 具も沢山で確かに豪勢で贅沢なスープであったが、浮かんでいる野菜がどうみても生だった。

 ハルは横目で嬉しそうに笑うサラに視線を向け、顔をしかめた。

 何で……俺がこんな目に、というより、何でこいつに振り回されなければならないいのだと、納得のいかない疑問が過ぎる。

 かたわらではサラが早く食べてという目で急かしてくる。

 ハルはスプーンを持つ手にぐっと力を込め、再び器の中身を凝視する。

 これを食べるということは、ある意味、勇気のいる行為だと思いつつも、覚悟を決め椀の中にスプーンを入れる。

 見るからに生の野菜を避け、スープだけをすくって口に運ぶ。

「まずい、無理」

 にべもなく言い捨てるハルに、サラは強い衝撃を受けたというように、あんぐりと口を開けている。

「そんなことないわよ! 失礼ね」

 憤慨もあらわにサラはハルの手からスプーンを奪い、自分もスープを一口飲んでみる。

 途端、サラは顔をしかめた。

「ほんとだ……」

「ほんとだって……おまえ、味見もせずに俺に食べさせたのか」

「味見ってするものなの?」

 と、首を傾げるサラに、ハルはやれやれと肩をすくめる。

「てっきり俺はあんたの味覚が麻痺しているのかと思ったよ」

「ごめんなさい」

 すっかり消沈してうなだれてしまったサラを見下ろし、ハルはため息をつく。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ