この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第45章 心にかかる不安
ハルがあんたの庭は広くて迷う、と言っていたわりには、広大な敷地内をまるで知りつくしているかのように、ハルの足どりはためらいもなく進んでいく。
サラとて、奥にまで入って行くのは初めてで、自分の屋敷なのに、こんな場所があったのかと驚いてしまったほどであった。
林内に踏み込むと一転して辺りは薄暗くなり、ひんやりとした空気が漂い、肌寒さを感じた。
サラはきょろきょろと回りを見渡しながら、ハルの手に引かれ歩いた。
薄暗い木々の中、
上空を覆う枝葉の隙間から、ちらちらと太陽の光が見え隠れした。
しばらく歩くと、一頭の馬が木に繋がれているのがサラの目に飛び込んだ。
「え? こんなところに馬」
ハルが連れてきたのだろう、サラは木に繋がれた馬に駆け寄りその背をそっとなでた。
「どうしたの、この馬?」
「今日は少し遠出をしようかと思って借りてきた」
サラは嬉しそうに瞳を輝かせた。
「ハル、馬に乗れるの! すごいわ!」
「そんなに驚くこと?」
「ハルは何でもできてしまうのね。ねえ、ハルにできないことってあるのかしら?」
「できないこと?」
ハルは首を傾げてしばし考え込み。
「思い浮かばないな」
と、しれっと答える。
「そんなことはないでしょう。ハルにだって苦手なこととかあるでしょう? たとえば、お料理とかお裁縫は? 男の人だもの苦手よね」
「それ、あんたの苦手なことだよね? 困らない程度にはできるよ。少なくともあんたよりはね」
「それを言われると返す言葉がないわ。うーん、私、絶対ハルの苦手なこと探してみせるから」
「いちいち探さなくていいよ。そんなことより」
言うや否や、ハルは軽やかに馬にまたがった。
手にしていたお弁当の籠を胸に抱え、サラはぽうっと頬を赤らめハルを見上げる。
サラとて、奥にまで入って行くのは初めてで、自分の屋敷なのに、こんな場所があったのかと驚いてしまったほどであった。
林内に踏み込むと一転して辺りは薄暗くなり、ひんやりとした空気が漂い、肌寒さを感じた。
サラはきょろきょろと回りを見渡しながら、ハルの手に引かれ歩いた。
薄暗い木々の中、
上空を覆う枝葉の隙間から、ちらちらと太陽の光が見え隠れした。
しばらく歩くと、一頭の馬が木に繋がれているのがサラの目に飛び込んだ。
「え? こんなところに馬」
ハルが連れてきたのだろう、サラは木に繋がれた馬に駆け寄りその背をそっとなでた。
「どうしたの、この馬?」
「今日は少し遠出をしようかと思って借りてきた」
サラは嬉しそうに瞳を輝かせた。
「ハル、馬に乗れるの! すごいわ!」
「そんなに驚くこと?」
「ハルは何でもできてしまうのね。ねえ、ハルにできないことってあるのかしら?」
「できないこと?」
ハルは首を傾げてしばし考え込み。
「思い浮かばないな」
と、しれっと答える。
「そんなことはないでしょう。ハルにだって苦手なこととかあるでしょう? たとえば、お料理とかお裁縫は? 男の人だもの苦手よね」
「それ、あんたの苦手なことだよね? 困らない程度にはできるよ。少なくともあんたよりはね」
「それを言われると返す言葉がないわ。うーん、私、絶対ハルの苦手なこと探してみせるから」
「いちいち探さなくていいよ。そんなことより」
言うや否や、ハルは軽やかに馬にまたがった。
手にしていたお弁当の籠を胸に抱え、サラはぽうっと頬を赤らめハルを見上げる。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


