この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第47章 私を愛して
ハルが見たというのは、ベゼレート先生の診療所でのことを言っているのだ。
あの時、突然ハルに服を脱がされ、そして……強引にベッドに押し倒された。
サラはふるふると頭を振る。
「や、やめて。思い出したりなんてしないでね。私、胸もおしりもぺったんこだし色気だってないし……ほんとうに恥ずかしいから」
「そんなこと気にしているの? 今だってじゅうぶん可愛くて、魅力的だよ。それに、気づいていないの? ほんの少し手を加えるだけで、あんたは今以上に輝けるってことを」
「輝ける? 私が?」
そうだよ、と静かな声を落とし、上半身裸のままハルがこちらへと歩み寄って来る。
「あの、あの……」
口をぱくぱくさせながら、近づいてくるハルから距離をとるように後ずさる。けれど、すぐ背中に壁があたり逃げ場を失ってしまった。
サラはちらりと背後に視線を走らせる。
後ろに続く部屋は寝室で、隅にはベッドが置かれてある。
も、もう完全に意識しているのがハルにばれているわ。
恥ずかしすぎる。
目の前に近づいたハルが身をかがめ、とんと壁に片手をついた。
ハルの体温さえ感じるほどの間近な距離に、心臓がとくとくと音をたて、息をするのも苦しく感じられた。
頬がかっと熱くなる。
表情を強ばらせ、ハルを見上げた。
ハルの髪から、したたる水滴がぽたりと落ちる。
「そんなに警戒しなくても何もしないよ」
「なら……この体勢は何?」
まるで追いつめられているみたいで。
逃がさないといわれているみたいで。
動くことができない。
「怯えた顔があまりにも可愛いから、少し意地悪してみたくなった」
「ほんとうにそれだけ?」
「どういう意味?」
「それは……」
それ以上の言葉を口にすることができず、サラはうつむいてしまった。
頭の上で、ハルがふっと笑うのが聞こえた。と同時に、壁についていたハルの手が離れる。
あっさりと身を引かれ、サラの心に戸惑いが生じた。
キスして欲しい。
その手で私に触れて欲しい。
なのにどうして?
どうして、そんな思わせぶりな態度をとっておいて、私に触れてくれないの?
どうしてあっさり引いてしまうの?
いくつものどうしてが頭の中を過ぎっていく。
あの時、突然ハルに服を脱がされ、そして……強引にベッドに押し倒された。
サラはふるふると頭を振る。
「や、やめて。思い出したりなんてしないでね。私、胸もおしりもぺったんこだし色気だってないし……ほんとうに恥ずかしいから」
「そんなこと気にしているの? 今だってじゅうぶん可愛くて、魅力的だよ。それに、気づいていないの? ほんの少し手を加えるだけで、あんたは今以上に輝けるってことを」
「輝ける? 私が?」
そうだよ、と静かな声を落とし、上半身裸のままハルがこちらへと歩み寄って来る。
「あの、あの……」
口をぱくぱくさせながら、近づいてくるハルから距離をとるように後ずさる。けれど、すぐ背中に壁があたり逃げ場を失ってしまった。
サラはちらりと背後に視線を走らせる。
後ろに続く部屋は寝室で、隅にはベッドが置かれてある。
も、もう完全に意識しているのがハルにばれているわ。
恥ずかしすぎる。
目の前に近づいたハルが身をかがめ、とんと壁に片手をついた。
ハルの体温さえ感じるほどの間近な距離に、心臓がとくとくと音をたて、息をするのも苦しく感じられた。
頬がかっと熱くなる。
表情を強ばらせ、ハルを見上げた。
ハルの髪から、したたる水滴がぽたりと落ちる。
「そんなに警戒しなくても何もしないよ」
「なら……この体勢は何?」
まるで追いつめられているみたいで。
逃がさないといわれているみたいで。
動くことができない。
「怯えた顔があまりにも可愛いから、少し意地悪してみたくなった」
「ほんとうにそれだけ?」
「どういう意味?」
「それは……」
それ以上の言葉を口にすることができず、サラはうつむいてしまった。
頭の上で、ハルがふっと笑うのが聞こえた。と同時に、壁についていたハルの手が離れる。
あっさりと身を引かれ、サラの心に戸惑いが生じた。
キスして欲しい。
その手で私に触れて欲しい。
なのにどうして?
どうして、そんな思わせぶりな態度をとっておいて、私に触れてくれないの?
どうしてあっさり引いてしまうの?
いくつものどうしてが頭の中を過ぎっていく。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


