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令嬢は元暗殺者に恋をする
第48章 心を見せて
「もう、それ以上何も言わないで。決めたもの」

 揺るぎない視線でハルを真っ直ぐに見上げ、サラは決意の固さを示す。

「それに、好きな人に与えられる痛みなら、私、受け入れられると思うの」

 何だか、ものすごく恥ずかしいことを言ってしまったような気がして、サラはかあっと顔を赤くした。

 もしかしたらまた鼻で笑われてしまうかもと不安になって、上目遣いにちらりとハルを見上げたが、その目は笑うどころか怖いくらい真剣であった。

「本気か?」

 ハルの目を見つめたままサラはうなずいた。

「こんなところでいいのか?」

 場所なんか関係ない、ハルと一緒になれるならどこでもいいと、もう一度うなずく。

 不意に、ハルの右手が目の前に差し出された。

「俺に抱かれる覚悟がほんとうにあるのなら、この手をとって」

 差し出されたその手を見つめ、そしてハルを見上げたサラは、手をそろりと持ち上げハルの手に重ねようとする。

 手が触れあうその刹那。

「ただし……」

 と、言葉を継ぐハルに、サラの指先がぴくりと動き、手のひらに触れる寸前でとまった。

「手を重ねたら最後、途中でいやだといって泣き叫んでも許さない。拒もうとしても逃がさない。怖くなって怯えてもやめたりしない。最後まであんたを抱くよ。それでもいいのか? よく考えて」
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