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令嬢は元暗殺者に恋をする
第49章 篠つく雨の……※
「サラ」

 名前を呼ばれてサラの胸がとくんと鳴った。
 ハルの唇が耳元に寄せられ、ずっとなでてくれた手で頭を抱え込まれる。

 愛している、と吐息混じりの甘い声が耳の側でささやかれ、ふっと全身の力が抜けたその瞬間。
 ぐっと花びらを押し開くようにして、ハルの熱い楔がゆっくりと打ち込まれていく。

「……ああっ!」

 駆け抜ける痛みにきつく眉根を寄せ、サラはハルの背中に必死にしがみつく。

 ハルは自身のものが浅く入ったところで、動きを止め、腕の中のサラの様子をうかがった。
 しばらくして、サラの腕が緩む。きつく閉じていたまぶたを開き潤みきった目でハルを見返す。

「私……大丈夫みたい。そんなに痛みはないの……」

 安堵の声をもらすサラの髪をハルは優しくすいた。

 サラはおそらくこれで終わったのだろうと思っている。しかし、まだ、先端部分しか挿入していない。

「ごめんね」

「どうして……謝るの? 私はへいき……」

「違うんだ。本当の痛みはこの先だから。かなり辛いと思う」

 本当の痛みというハルの言葉に、サラはいや、と首を振る。これ以上の痛みの想像がつかない。

「ゆっくり入ればそれだけ痛みが長引く。だから……」

 ハルの片手がサラの腰が逃げないように下に回り押さえ込む。

「ここから先は一気にいく。泣いてもいい。叫んでもいい。俺の背中に爪をたててもかまわない」

 言って、ハルはきつい襞肉の壁をこじあけるようにぐっと腰をいれていった。
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