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令嬢は元暗殺者に恋をする
第50章 目覚めて
 胸元を隠すようにシーツを引き寄せ、ぼんやりとした目で窓の外に視線をあてる。
 いつの間にか雨はやみ、傾きかけた陽の光が窓から差し込み薄暗いながらも部屋を照らしていた。

 熱のこもった空気にどこか物憂げな気配を漂わせ、緋色の夕映えがベッドの上の二人の影を壁に映し出す。

 無理をさせないようにとハルが気遣ってくれたのだろう。
 肌を重ねていた時間はそう長くはなかった。
 ハルは最後まで、まるで壊れ物を扱うように優しかった。

 サラは胸のあたりでシーツを握りしめる。

 ハルと重なりあった時のことを思い出すたび、胸の奥が疼き、徐々に失いかけつつある熱を再び呼び覚ますように、身体が火照り始めた。
 ハルが与えてくれた痛みの先を思いだし、小さく細いため息をこぼす。

 その吐息さえ熱を帯びているかのようで熱い。
 昇っていくような堕ちていくような。
 自分の身体なのにどうにもできなくて。
 途中から頭の中が真っ白になってしまって、記憶が曖昧だけれど。
 ただひたすらハルの名を呼び続け、泣きながらすがりついていたような気がする。

「目が真っ赤」

 目の縁、かすかに残る涙のにじんだ跡にハルがそっと口づけをする。
 しっとりと濡れたまつげがかすかに震えた。
 伸ばされたハルの手がほつれた髪を指ですくようになでてくれる。
 解けかけ緩んだ藍色のリボンがハルの指に絡まり、するりとすり抜けてサラの膝に落ちる。

「後で結んであげる」

 サラは恥ずかしそうにうなずくと、シーツを顔のあたりまで引き上げ、膝の上のリボンに視線を落とした。

「私、途中からわけがわからなくなってしまって……」

 立てた片膝にひじを乗せて頬杖をつき、ハルは笑う。
 意識を半分失った、そんな状態の姿までハルに見られていたのかと思うと、恥ずかしくて視線をあげることができなかった。

「でもね、ハル……」

「どうしたの?」

「とても気持ちよかった」

 素直に思ったことを口にするサラの唇から再び、熱のこもったため息がこぼれ落ちる。

「ちょっと待って……」

「うん?」

 見れば、ハルが片手を顔にあて横を向いている。驚いたことにほんの少し頬のあたりが赤い。
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