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令嬢は元暗殺者に恋をする
第51章 何故
ハルと別れ、部屋に戻ったと同時に、今日は何も用はないからと侍女たちを部屋から遠ざけた。
いつもよりも早く仕事から解放された彼女たちは、嬉々とした表情でサラの部屋を去っていった。
早めに眠りにつく者もいれば、恋人に会いに行った者もいるだろう。
今頃は各々、自由な時間を楽しんでいるに違いない。
とさりとベッドの上に仰向けになって倒れ、サラはふうっと息をついた。
ひとりきりになりたかった。
幸せな気持ちに浸りたかった。
そっと、胸に手をあて、今日一日の出来事を思い浮かべ、頬を顔を赤らめ胸を熱くする。
私、ハルと……。
まだ身体に痛みが残っている。
無我夢中でハルにしがみついていた両腕も、心なしか重く感じられた。
ハル、優しかったな。
どうしよう。
私とても幸せ。
幸せすぎて怖いくらい。
そのままころりとうつぶせになり、枕を抱えそこに顔をうずめる。
明日、ハルが迎えに来てくれると言ってくれた。ようやく、ハルと一緒になれるのだと思うと胸が苦しいくらい喜びに震えた。
屋敷を出る支度をする必要はない。
この身ひとつで出ていくつもりだった。
きっと、この先楽しいことばかりではないだろう。
辛いことも苦しいこともあるはず。それでも、ハルと一緒ならすべてを乗り越えていけると思った。
ハルと一緒ならどんなことでも……。
今日はもうこのまま眠ってしまおう。そうしたら、すぐに朝が来る。
幸せに満ちた朝が。
その時、かすかに扉のきしむ音が聞こえ、サラはそろりとベッドから身を起こした。
何?
侍女の誰かが用を思い出し、戻ってきたのだろうか。だが、一言も声をかけることもなく部屋に入ってくるのはおかしい。
「誰?」
呼びかける声も待たずして、何者かが部屋の中へと身を滑らせる気配。
嫌な予感に心臓がどきりと鳴った。
部屋の中は文机に灯された蝋燭のみ。
灯に照らされた人物の顔を見てサラは息を飲む。そして、その不届きな侵入者に怒りもあらわに眉根を寄せた。
扉の前に立っていたのは婚約者のファルクであった。
何故、彼がこの部屋に入って来られたのか。
いつもよりも早く仕事から解放された彼女たちは、嬉々とした表情でサラの部屋を去っていった。
早めに眠りにつく者もいれば、恋人に会いに行った者もいるだろう。
今頃は各々、自由な時間を楽しんでいるに違いない。
とさりとベッドの上に仰向けになって倒れ、サラはふうっと息をついた。
ひとりきりになりたかった。
幸せな気持ちに浸りたかった。
そっと、胸に手をあて、今日一日の出来事を思い浮かべ、頬を顔を赤らめ胸を熱くする。
私、ハルと……。
まだ身体に痛みが残っている。
無我夢中でハルにしがみついていた両腕も、心なしか重く感じられた。
ハル、優しかったな。
どうしよう。
私とても幸せ。
幸せすぎて怖いくらい。
そのままころりとうつぶせになり、枕を抱えそこに顔をうずめる。
明日、ハルが迎えに来てくれると言ってくれた。ようやく、ハルと一緒になれるのだと思うと胸が苦しいくらい喜びに震えた。
屋敷を出る支度をする必要はない。
この身ひとつで出ていくつもりだった。
きっと、この先楽しいことばかりではないだろう。
辛いことも苦しいこともあるはず。それでも、ハルと一緒ならすべてを乗り越えていけると思った。
ハルと一緒ならどんなことでも……。
今日はもうこのまま眠ってしまおう。そうしたら、すぐに朝が来る。
幸せに満ちた朝が。
その時、かすかに扉のきしむ音が聞こえ、サラはそろりとベッドから身を起こした。
何?
侍女の誰かが用を思い出し、戻ってきたのだろうか。だが、一言も声をかけることもなく部屋に入ってくるのはおかしい。
「誰?」
呼びかける声も待たずして、何者かが部屋の中へと身を滑らせる気配。
嫌な予感に心臓がどきりと鳴った。
部屋の中は文机に灯された蝋燭のみ。
灯に照らされた人物の顔を見てサラは息を飲む。そして、その不届きな侵入者に怒りもあらわに眉根を寄せた。
扉の前に立っていたのは婚約者のファルクであった。
何故、彼がこの部屋に入って来られたのか。

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