この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第51章 何故
 ハルと別れ、部屋に戻ったと同時に、今日は何も用はないからと侍女たちを部屋から遠ざけた。
 いつもよりも早く仕事から解放された彼女たちは、嬉々とした表情でサラの部屋を去っていった。

 早めに眠りにつく者もいれば、恋人に会いに行った者もいるだろう。
 今頃は各々、自由な時間を楽しんでいるに違いない。
 とさりとベッドの上に仰向けになって倒れ、サラはふうっと息をついた。

 ひとりきりになりたかった。
 幸せな気持ちに浸りたかった。

 そっと、胸に手をあて、今日一日の出来事を思い浮かべ、頬を顔を赤らめ胸を熱くする。

 私、ハルと……。

 まだ身体に痛みが残っている。
 無我夢中でハルにしがみついていた両腕も、心なしか重く感じられた。

 ハル、優しかったな。
 どうしよう。
 私とても幸せ。
 幸せすぎて怖いくらい。

 そのままころりとうつぶせになり、枕を抱えそこに顔をうずめる。
 明日、ハルが迎えに来てくれると言ってくれた。ようやく、ハルと一緒になれるのだと思うと胸が苦しいくらい喜びに震えた。

 屋敷を出る支度をする必要はない。
 この身ひとつで出ていくつもりだった。
 きっと、この先楽しいことばかりではないだろう。
 辛いことも苦しいこともあるはず。それでも、ハルと一緒ならすべてを乗り越えていけると思った。

 ハルと一緒ならどんなことでも……。

 今日はもうこのまま眠ってしまおう。そうしたら、すぐに朝が来る。
 幸せに満ちた朝が。
 その時、かすかに扉のきしむ音が聞こえ、サラはそろりとベッドから身を起こした。

 何?

 侍女の誰かが用を思い出し、戻ってきたのだろうか。だが、一言も声をかけることもなく部屋に入ってくるのはおかしい。

「誰?」

 呼びかける声も待たずして、何者かが部屋の中へと身を滑らせる気配。
 嫌な予感に心臓がどきりと鳴った。
 部屋の中は文机に灯された蝋燭のみ。

 灯に照らされた人物の顔を見てサラは息を飲む。そして、その不届きな侵入者に怒りもあらわに眉根を寄せた。
 扉の前に立っていたのは婚約者のファルクであった。
 何故、彼がこの部屋に入って来られたのか。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ