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令嬢は元暗殺者に恋をする
第51章 何故
「どうして……? 鍵はかけたはずなのに」
間違いない。
部屋に入ったと同時にしっかりと錠をおろした。
この間のように、勝手にこの男が部屋に入って来ないようにと。
「ああ、鍵かい?」
にやりと口の端を歪め、ファルクはそれを見せつけるようにぶらぶらと眼前で揺らしてみせた。それは、部屋の鍵であった。
「何故? という顔だね。可愛い婚約者に会いに来たというのに、あなたの部屋は鍵がかかっている。だから、あなたの侍女に部屋の鍵を渡すようお願いしたのですよ」
サラはこくりと喉を鳴らした。
「愛しい婚約者とどうしても二人っきりで会いたいと、ちょっと甘い声でお願いをしたら、すぐにこの鍵を差し出してくれた」
「そんな……」
「お礼にその侍女にキスをしてあげたよ。ついでに、しばらくこの部屋には近寄らないようにと言いつけて。それにしても、主も主なら、その主に仕える侍女も侍女だ。まったくしつけがなっていないようだね。まあ、私がこの屋敷に来ることになったら、あなたも侍女たちも、しっかりと教育し直さなければいけないみたいだ」
楽しみだよ、と肩をくつくつと揺らしファルクは笑いながら言う。
「帰って! 今すぐここから出て行って!」
「こうしてわざわざあなたに、愛する婚約者に会いたくてやって来たというのに、帰れとはずいぶんとつれないのだね」
白々しい言葉を口にのせ、ファルクが大仰に肩をすくめる仕草をする。
間違いない。
部屋に入ったと同時にしっかりと錠をおろした。
この間のように、勝手にこの男が部屋に入って来ないようにと。
「ああ、鍵かい?」
にやりと口の端を歪め、ファルクはそれを見せつけるようにぶらぶらと眼前で揺らしてみせた。それは、部屋の鍵であった。
「何故? という顔だね。可愛い婚約者に会いに来たというのに、あなたの部屋は鍵がかかっている。だから、あなたの侍女に部屋の鍵を渡すようお願いしたのですよ」
サラはこくりと喉を鳴らした。
「愛しい婚約者とどうしても二人っきりで会いたいと、ちょっと甘い声でお願いをしたら、すぐにこの鍵を差し出してくれた」
「そんな……」
「お礼にその侍女にキスをしてあげたよ。ついでに、しばらくこの部屋には近寄らないようにと言いつけて。それにしても、主も主なら、その主に仕える侍女も侍女だ。まったくしつけがなっていないようだね。まあ、私がこの屋敷に来ることになったら、あなたも侍女たちも、しっかりと教育し直さなければいけないみたいだ」
楽しみだよ、と肩をくつくつと揺らしファルクは笑いながら言う。
「帰って! 今すぐここから出て行って!」
「こうしてわざわざあなたに、愛する婚約者に会いたくてやって来たというのに、帰れとはずいぶんとつれないのだね」
白々しい言葉を口にのせ、ファルクが大仰に肩をすくめる仕草をする。

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