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令嬢は元暗殺者に恋をする
第54章 脅しと賭け
「何だね、それは?」
「見ればわかるでしょう」
「そんなものを私に向けてどうするつもりかな? 私に斬りかかろうというのかい? 人を傷つけたこともないおまえに、そんな勇気などあるのかな? そんなことより、この私に傷ひとつつけることができると思っているのかな?」
どこまでも馬鹿な娘だと、ファルクは呆れたように肩をすくめる。
ファルクを傷つけるつもりなどもとよりない。
サラは鞘から抜いた短剣の刃を自分の首筋にあてた。
「ここから出て行きなさい」
「出て行きなさいだと? この私に命令をするのかね。婚約者であるこの私に」
「それ以上近寄ったら、私に少しでも触れたら、私……私、ここで死ぬわ!」
ファルクは可笑しそうに唇を歪めた。
「死ぬ? はは! おまえにそんな度胸など……」
「脅しではないわ。本気よ」
ファルクはくつりと嘲笑を交えて唇の端を吊り上げて笑う。
もちろん、脅しだ。
死ぬつもりなどない。
ハルは過去に大切な人を失っている。
もし、ここで私が死を選んでしまったら、ハルの心に消えない傷をさらに負わせてしまうことになる。
だから、ハルのために、ここで命を絶つつもりはない。
「見ればわかるでしょう」
「そんなものを私に向けてどうするつもりかな? 私に斬りかかろうというのかい? 人を傷つけたこともないおまえに、そんな勇気などあるのかな? そんなことより、この私に傷ひとつつけることができると思っているのかな?」
どこまでも馬鹿な娘だと、ファルクは呆れたように肩をすくめる。
ファルクを傷つけるつもりなどもとよりない。
サラは鞘から抜いた短剣の刃を自分の首筋にあてた。
「ここから出て行きなさい」
「出て行きなさいだと? この私に命令をするのかね。婚約者であるこの私に」
「それ以上近寄ったら、私に少しでも触れたら、私……私、ここで死ぬわ!」
ファルクは可笑しそうに唇を歪めた。
「死ぬ? はは! おまえにそんな度胸など……」
「脅しではないわ。本気よ」
ファルクはくつりと嘲笑を交えて唇の端を吊り上げて笑う。
もちろん、脅しだ。
死ぬつもりなどない。
ハルは過去に大切な人を失っている。
もし、ここで私が死を選んでしまったら、ハルの心に消えない傷をさらに負わせてしまうことになる。
だから、ハルのために、ここで命を絶つつもりはない。

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