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令嬢は元暗殺者に恋をする
第56章 口止め
「サラが怪我をした。傷の手当をしたい。消毒薬と包帯、冷やしたタオルを用意しろ。着替えもだ。用意したら、誰にも見つからずにここへ戻って来い」
「む、無理……そんなのできない」
「無理?」
ハルは目を細めて侍女を見据える。
「だって!」
声を上げかけて、侍女は慌てて息を飲む。
「着替えならこの部屋に。でも、それ以外のものは別の部屋に行かなければ手に入らないわ。こんな夜遅くに、こそこそしたら誰かに気づかれてしまう……誰にも見つからずになんて無理……」
そう、とハルは目を細めて薄く嗤い、侍女のあごに添えていた短剣の刃で相手の顔を上向かせる。
どうやら、今置かれている自分の状況がわかっていないらしい。
口答えをする余裕があるというのなら。
なるほど、遠慮はいらないということだな。
「だったら、取りに行きやすいよう、あんたの身体に傷のひとつでもつくってやろうか。どこがいいか言ってみろ。自分の傷の手当てだと言えば、何も不思議には思われないだろう? こんな時間だ、みな早く休みたい。少しばかり怪我をしたところで、誰もたいして気にとめることもない」
侍女の顔から一気に血の気が引いていく。
「む、無理……そんなのできない」
「無理?」
ハルは目を細めて侍女を見据える。
「だって!」
声を上げかけて、侍女は慌てて息を飲む。
「着替えならこの部屋に。でも、それ以外のものは別の部屋に行かなければ手に入らないわ。こんな夜遅くに、こそこそしたら誰かに気づかれてしまう……誰にも見つからずになんて無理……」
そう、とハルは目を細めて薄く嗤い、侍女のあごに添えていた短剣の刃で相手の顔を上向かせる。
どうやら、今置かれている自分の状況がわかっていないらしい。
口答えをする余裕があるというのなら。
なるほど、遠慮はいらないということだな。
「だったら、取りに行きやすいよう、あんたの身体に傷のひとつでもつくってやろうか。どこがいいか言ってみろ。自分の傷の手当てだと言えば、何も不思議には思われないだろう? こんな時間だ、みな早く休みたい。少しばかり怪我をしたところで、誰もたいして気にとめることもない」
侍女の顔から一気に血の気が引いていく。

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