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令嬢は元暗殺者に恋をする
第57章 サラを手放さない
侍女を気遣うサラの横で、ハルは冷え切った眼差しで泣き崩れる侍女を見やる。
先ほどは少々やり過ぎたかと思ったが、案外そうでもないようだ。
どうやら、自分の思っていることを感情のまま口にしてしまう娘のようだ。
「ミリアが無事ならよかったわ」
侍女の身を案じるサラの優しい言葉に、とうとうミリアはその場にうずくまり、わあ、と声を上げて泣き出してしまった。
本当に泣きたいのはどちらかも考えずに……。
そんな侍女の背を、サラは泣かないでと何度も慰めるようにさすっている。
「サラ」
呼びかけるハルの声にサラは何? と顔を上げた。
「人が好いのと優しさは違う」
手厳しいハルの言葉にサラははっとした顔をする。
何か言いたげに口を開きかけたが、結局何も言えず、しゅんとなってうつむいてしまった。
それ以上は何も言う必要はないだろう。
本来なら、勝手な行動をとった侍女を叱りつけて然るべきだ。だが、サラはそうはしない。それが、彼女のいいところでもあり、欠点でもある。後はサラの優しさをこの侍女がどう受け止めるかだ。
そして、まなじりを細めたハルの目が今度はミリアに向けられる。
先ほどは少々やり過ぎたかと思ったが、案外そうでもないようだ。
どうやら、自分の思っていることを感情のまま口にしてしまう娘のようだ。
「ミリアが無事ならよかったわ」
侍女の身を案じるサラの優しい言葉に、とうとうミリアはその場にうずくまり、わあ、と声を上げて泣き出してしまった。
本当に泣きたいのはどちらかも考えずに……。
そんな侍女の背を、サラは泣かないでと何度も慰めるようにさすっている。
「サラ」
呼びかけるハルの声にサラは何? と顔を上げた。
「人が好いのと優しさは違う」
手厳しいハルの言葉にサラははっとした顔をする。
何か言いたげに口を開きかけたが、結局何も言えず、しゅんとなってうつむいてしまった。
それ以上は何も言う必要はないだろう。
本来なら、勝手な行動をとった侍女を叱りつけて然るべきだ。だが、サラはそうはしない。それが、彼女のいいところでもあり、欠点でもある。後はサラの優しさをこの侍女がどう受け止めるかだ。
そして、まなじりを細めたハルの目が今度はミリアに向けられる。

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