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令嬢は元暗殺者に恋をする
第58章 解き放つ怒り
窓から差す月明かりが、暗い廊下に仄かな光を落とす。
「まさか、こうして堂々と屋敷から出て行くことになるなんて思わなかったわ」
「こんな時間だから、堂々とは言えないけれどね」
「それもそうね。ねえ、ハル?」
「何? どうしたの?」
「ううん……何でもない」
「言ってごらん」
「好き……」
ハルはもう一度サラの耳元に唇を寄せ、愛していると思いを込めてささやいた。
サラは恥ずかしそうにうつむいてしまう。
屋敷内はしんと静まり返っている。
おそらく誰にも見つかることなくここから抜け出すことができるだろうと思ったその時。
背にその声がかけられた。
「サラ?」
足を止め、ハルは背後を振り返る。
視線の先に立っていたのは、夜着姿に肩掛けを羽織った美しい女性。
匂い立つような美しさではない。
清楚で可憐な、誰かが支え守ってあげなければ今にもふっと消えてしまいそうな儚い美しさ。
けれど、弱々しいと思わせたのはほんの一瞬のこと。
すぐに、その女性のうちに秘めた強さを、こちらを見つめる眼差しから感じ取ることができた。
年齢とかもしだす雰囲気からすぐに、サラの母親であろうことはわかった。何より、顔立ちがサラとよく似ている。
「まさか、こうして堂々と屋敷から出て行くことになるなんて思わなかったわ」
「こんな時間だから、堂々とは言えないけれどね」
「それもそうね。ねえ、ハル?」
「何? どうしたの?」
「ううん……何でもない」
「言ってごらん」
「好き……」
ハルはもう一度サラの耳元に唇を寄せ、愛していると思いを込めてささやいた。
サラは恥ずかしそうにうつむいてしまう。
屋敷内はしんと静まり返っている。
おそらく誰にも見つかることなくここから抜け出すことができるだろうと思ったその時。
背にその声がかけられた。
「サラ?」
足を止め、ハルは背後を振り返る。
視線の先に立っていたのは、夜着姿に肩掛けを羽織った美しい女性。
匂い立つような美しさではない。
清楚で可憐な、誰かが支え守ってあげなければ今にもふっと消えてしまいそうな儚い美しさ。
けれど、弱々しいと思わせたのはほんの一瞬のこと。
すぐに、その女性のうちに秘めた強さを、こちらを見つめる眼差しから感じ取ることができた。
年齢とかもしだす雰囲気からすぐに、サラの母親であろうことはわかった。何より、顔立ちがサラとよく似ている。

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