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令嬢は元暗殺者に恋をする
第59章 深い闇へ、落ちていく
「いや……側にいてハル。どこにもいかないって、約束したでしょう」

「どこにも行ったりしないよ」

「お願いだめ。いか……ないで」

 両腕を伸ばしてサラがきつく首筋に抱きついてくる。

「ハル、お願い」

「サラの側にいるよ。だから、安心して」

 いつも以上に甘えてくるサラのこめかみに優しく口づけをすると、サラは小さくうなずいて、再びすっと眠りの底へと誘われるように沈んでいく。

 二人の様子を無言で見ていたテオは思わず息を飲んだ。

 シンとの約束を破り、ひとり、ハルを探しに裏街へと向かったサラだったが、その後すぐに屋敷へ戻ってしまい、結局、サラとハルの二人がどうなったのかテオは知らない。
 しかし、腕に抱いたサラに愛おしげに口づけをするハルを見て、サラの思いが相手に通じたのだとようやく、この瞬間、テオは知る。

 これだけの怪我を負いながらも、安心しきった様子でハルの腕の中で眠っているサラの顔に苦痛の色はない。

 むしろ、幸せそうに微笑みさえ浮かべていた。
 手放したくないとばかりに、ハルはテオの腕にサラをあずけた。
 消えてしまった腕の重みに、ふと、心をかすめたのは寂しさと虚しさ。

「それにしても、誰がこんな酷いことを……」

 サラを腕に抱いたテオは顔を歪め声を震わせる。

 一見、冷静沈着で、争いごとなど好まない穏やかそうに見える外見とは裏腹に、その内面に彼自身では御しきれない激しい感情を持つ一面もあることをハルは知っている。

 この診療所で、サラを無理矢理抱こうとしてこの青年に見られてしまった時、彼は持っていた短剣を抜き放ち、怒りに任せて刃を自分に向けてきたこともあったのだ。
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