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令嬢は元暗殺者に恋をする
第61章 報復 -2-
すっかり目の前の男の存在など忘れ、考え事に没頭し、しらずしらず膝を震えさせていたことに気づく。
それほどまでに、レイの存在は自分にとって脅威であった。
「おまえには教えてやろう。アイザカーンの暗殺組織を雇ったのだよ。それも二十人もね」
ハルは相手に気づかれないよう、静かに息をもらし、張りつめていた緊張をゆっくりと解く。
「何だね? それほど驚いたという様子でもないね。それに、ずっとだんまりとはどういうことだね。つまらないではないか。それとも、あまりの衝撃に声もでないということかな?」
俺としたことが……。
暗殺組織と聞いて、つい冷静さを欠いてしまったが、よくよく考えてみれば、この程度の卑小な男がレザンの暗殺組織にそう簡単にたどり着くことなどできるわけがないのだ。
たとえ、万が一にもたどり着けたとしても、賊に扮して標的を襲えなどという、この男の稚拙すぎる依頼に、組織が首を縦に振るわけがないこともよく知っている。
レザンの組織は依頼者を選ぶ。
金さえもらえればどんな仕事でも引き受けるというわけではない。
依頼者の為人を見極め、その者が気に入らなければその場で殺してしまうことも。
組織のことを知られてしまった以上、生かして返すわけにはいかない。
だから、依頼をする方も相応の覚悟をもって臨まなければならない。
それこそ命がけで。
人を闇に葬り去ろうとするのだ。
そのくらいの危険と自分を犠牲にするかもしれない覚悟は必然であろう。
そうでなければ、レザンの暗殺者たちを動かすことなど、できはしない。
だが、それでも状況は決してよいとはいえなかった。
それほどまでに、レイの存在は自分にとって脅威であった。
「おまえには教えてやろう。アイザカーンの暗殺組織を雇ったのだよ。それも二十人もね」
ハルは相手に気づかれないよう、静かに息をもらし、張りつめていた緊張をゆっくりと解く。
「何だね? それほど驚いたという様子でもないね。それに、ずっとだんまりとはどういうことだね。つまらないではないか。それとも、あまりの衝撃に声もでないということかな?」
俺としたことが……。
暗殺組織と聞いて、つい冷静さを欠いてしまったが、よくよく考えてみれば、この程度の卑小な男がレザンの暗殺組織にそう簡単にたどり着くことなどできるわけがないのだ。
たとえ、万が一にもたどり着けたとしても、賊に扮して標的を襲えなどという、この男の稚拙すぎる依頼に、組織が首を縦に振るわけがないこともよく知っている。
レザンの組織は依頼者を選ぶ。
金さえもらえればどんな仕事でも引き受けるというわけではない。
依頼者の為人を見極め、その者が気に入らなければその場で殺してしまうことも。
組織のことを知られてしまった以上、生かして返すわけにはいかない。
だから、依頼をする方も相応の覚悟をもって臨まなければならない。
それこそ命がけで。
人を闇に葬り去ろうとするのだ。
そのくらいの危険と自分を犠牲にするかもしれない覚悟は必然であろう。
そうでなければ、レザンの暗殺者たちを動かすことなど、できはしない。
だが、それでも状況は決してよいとはいえなかった。

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