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令嬢は元暗殺者に恋をする
第61章 報復 -2-
「残念なことに、あの娘は神経の図太い小生意気な小娘で、か弱いというにはほど遠い。そこで、あの娘にこの薬を飲ませてやるつもりだ。ちょっとしたお薬だよ。これを少量ずつ食事や飲み物にでも混ぜて与え続ける。怪しまれないよう、少しずつ少しずつだ。何、少量ならすぐにどうなるわけではない。だが、与え続ければ、しだいに精神に異常をきたし、やがて人格を失い……最後は衰弱して死ぬ。ふふ、これを手に入れるのにどれだけ苦労したことか」
ファルクは喉の奥でくつくつと笑い、小瓶を大切そうに懐の奥深くにしまい直すと、大仰に両手を広げた。
「回りの人間どもはこの私に深く同情をするだろう。式の当日に愛する花嫁を賊に襲われた哀れな花婿と……私は心を失った妻を献身的に介抱するつもりだよ。それはもう、大切に大切にね。妻を愛する優しく素晴らしい夫という役柄を立派に演じてみせるさ。だが……」
おお……と悲観的な声をもらし、ファルクはわざとらしくひたいに手をあて天井を仰ぐ。
ファルクは喉の奥でくつくつと笑い、小瓶を大切そうに懐の奥深くにしまい直すと、大仰に両手を広げた。
「回りの人間どもはこの私に深く同情をするだろう。式の当日に愛する花嫁を賊に襲われた哀れな花婿と……私は心を失った妻を献身的に介抱するつもりだよ。それはもう、大切に大切にね。妻を愛する優しく素晴らしい夫という役柄を立派に演じてみせるさ。だが……」
おお……と悲観的な声をもらし、ファルクはわざとらしくひたいに手をあて天井を仰ぐ。

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