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令嬢は元暗殺者に恋をする
第61章 報復 -2-
「何ということだ。この私の支えも虚しく、やがて妻は他界してしまう。そして私はトランティアという名前と、とてつもない莫大な財産を手にすることができる。まさか、誰もこの私が密かに妻に毒を盛り、殺したとは思いもしないだろう。まあ、日頃の行いだな。私はこれまで善良で、正義感が強く、心の優しい好青年でずっと通してきたのだから。もちろん、女性にだって優しい」
そう言って、ファルクはひたいにあてていた手で、さっと前髪をかき上げるように払うと、それこそ女性が好みそうな蕩ける笑顔を浮かべる。
「ああ、その前に私とあの娘との間に、子どものひとりくらいは孕ませて残していってもらわなければいけないね。ちなみに私は子どもが大っ嫌いだ。うるさいし、わがままだし、自分の思い通りにならないと、すぐに拗ねて泣き出すごねる! だが、私があの家に居続けるために、子どもの存在は不可欠だ。何、あの娘が死んで、ほとぼりが冷める頃に、気に入った女を妻として迎えればいい。私好みの、この私に相応しい、私に決して逆らわない従順な女性をね。そう、何故この計画をわざわざおまえに話すのかという顔をしているね。何故なら、おまえごとき弱者で、とるに足らない虫けらに、ごみくずに、石ころごときに! この私の企みを止めることなどできやしないからだ! あの娘を連れてどこかへ逃げようと考えても無駄だよ。おまえは奴らの、暗殺者どもの恐ろしさを知らないだろう。庶民であるおまえにはかかわりのない世界だからね。二十人の刺客どもが、どこまでも、それこそ地の果てまでも、執拗におまえたちを追い続ける。それと、私に何かあったとしても、この依頼はとまらないよ。万が一、私が死んだら、あの娘も必ず始末しろと組織に命じてあるのだから」
そう言って、ファルクはひたいにあてていた手で、さっと前髪をかき上げるように払うと、それこそ女性が好みそうな蕩ける笑顔を浮かべる。
「ああ、その前に私とあの娘との間に、子どものひとりくらいは孕ませて残していってもらわなければいけないね。ちなみに私は子どもが大っ嫌いだ。うるさいし、わがままだし、自分の思い通りにならないと、すぐに拗ねて泣き出すごねる! だが、私があの家に居続けるために、子どもの存在は不可欠だ。何、あの娘が死んで、ほとぼりが冷める頃に、気に入った女を妻として迎えればいい。私好みの、この私に相応しい、私に決して逆らわない従順な女性をね。そう、何故この計画をわざわざおまえに話すのかという顔をしているね。何故なら、おまえごとき弱者で、とるに足らない虫けらに、ごみくずに、石ころごときに! この私の企みを止めることなどできやしないからだ! あの娘を連れてどこかへ逃げようと考えても無駄だよ。おまえは奴らの、暗殺者どもの恐ろしさを知らないだろう。庶民であるおまえにはかかわりのない世界だからね。二十人の刺客どもが、どこまでも、それこそ地の果てまでも、執拗におまえたちを追い続ける。それと、私に何かあったとしても、この依頼はとまらないよ。万が一、私が死んだら、あの娘も必ず始末しろと組織に命じてあるのだから」

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