この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第62章 報復 -3-
「あの娘が連れ戻されたと聞いても、それでも、おまえは冷静なのだな。顔色ひとつ変えようとはしない。今すぐ引き返して、あの娘の元へ駆けつけるかと思っていたのだが。それとも、私が思っていたよりも、おまえはあの娘に対してそれほど思い入れはなかった。大切ではなかったということかな? あの娘はもう用なしかね? 薄情な男だ。まあ、確かに捕まってしまうかもしれないとわかっていながら、危険をおかしてまでわざわざ取り戻しに行こうなどという、そんな酔狂なことは普通では考えないだろう」
大切に思っていなければ、サラをあんな酷い目にあわせたこの男に、報復してやろうと、単身ここへは乗り込んでは来ない。
だが、大切に思っているからこそ、側にいてあげるべきだったのかもしれない。
「それにしても、ベゼレートとかいうあのいんちき医師、何が元王家専任の医師だ。何をやらかしてその任を解かれ、町で下民ども相手に、しょうもない開業医なんぞ始めたのか知らないが……まあ、どうせ、王宮にあがってもうまく馴染めず、要領よく立ち回ることもできず、せっかくの好機をものにすることもできず、圧力に押し潰され脱落してしまったくちであろう。まさに、人生の脱落者、敗残者! 王家専任医師とはいっても、しょせん元はただの下民。まあ、その下民の分際が少しでも華やかな王宮でいい夢をみられたのなら……」
大切に思っていなければ、サラをあんな酷い目にあわせたこの男に、報復してやろうと、単身ここへは乗り込んでは来ない。
だが、大切に思っているからこそ、側にいてあげるべきだったのかもしれない。
「それにしても、ベゼレートとかいうあのいんちき医師、何が元王家専任の医師だ。何をやらかしてその任を解かれ、町で下民ども相手に、しょうもない開業医なんぞ始めたのか知らないが……まあ、どうせ、王宮にあがってもうまく馴染めず、要領よく立ち回ることもできず、せっかくの好機をものにすることもできず、圧力に押し潰され脱落してしまったくちであろう。まさに、人生の脱落者、敗残者! 王家専任医師とはいっても、しょせん元はただの下民。まあ、その下民の分際が少しでも華やかな王宮でいい夢をみられたのなら……」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


