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令嬢は元暗殺者に恋をする
第68章 出会った場所で
 謝罪しなければならないのは自分の方だ。
 関係のない、といってしまったら、テオは怒り出すかもしれないが、二人には迷惑をかけてしまった。
 そんなハルの心情に気づいたのか、ベゼレートは。

「そんな顔をなさらずとも、私たちは大丈夫ですよ。それよりも、あなたはあなたのことを考えなさい」

 サラの心配をしてあげなさい、と言ってくれた。
 その言葉に救われた。

 ベゼレートはただの町医者ではない。
 たとえ、今回の件を咎められ、トランティア家から何かしらの圧力がかかったとしても、彼ならばやり過ごすことはできるだろう。

 これからどうするのだとテオに尋ねられ、サラが婚約者であるファルクによって命の危険にさらされている、などと話せるはずもなく、ましてや、そのサラを救うために自分がこれから何をしようとしているのかも言えることもできず……。

「決して、無茶だけはいけませんよ」

 ベゼレートの言葉に曖昧な笑いをこぼし、ハルは二人に背を向け診療所を後にした。
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