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令嬢は元暗殺者に恋をする
第68章 出会った場所で
双方、通行禁止の札でも立てかけるか、と冗談めいた呟きをもらすハルの視線がふと、一本の大木に止まった。その木に歩み寄り、幹に手を添える。
思わず笑いがこぼれた。
忘れもしない。
初めてサラと出会った場所だ。
賊との戦いで不覚にも傷つき、動くこともままならず、この木の根元に座り込んでいたそこへ、一台の馬車が駆け抜けていった。
馬車の外観からして身分の高い者を乗せているとすぐにわかった。
通り過ぎざま目に入った紋章はアルガリタでももとも由緒ある貴族、トランティア家の紋章であった。
過ぎていくその馬車を横目でみやると、突然、馬車が停止した。そして、止まったと同時に、中から転がり出るようにひとりの少女が現れた。
少女は護衛の男たちが止めるのも聞かず、ドレスの裾を膝までたくし上げ、慌てた顔で真っ直ぐこちらに向かって走ってくる。
驚いたことに、足元を見ると裸足だった。
彼女がトランティア家唯一の跡継ぎである少女。
噂では、トランティア家のサラは少々変わり者だと聞く。しかし、変わり者というよりも……いや、こんな自分を好きだと言うのだからやはり変わり者なのだろう。
思わず笑いがこぼれた。
忘れもしない。
初めてサラと出会った場所だ。
賊との戦いで不覚にも傷つき、動くこともままならず、この木の根元に座り込んでいたそこへ、一台の馬車が駆け抜けていった。
馬車の外観からして身分の高い者を乗せているとすぐにわかった。
通り過ぎざま目に入った紋章はアルガリタでももとも由緒ある貴族、トランティア家の紋章であった。
過ぎていくその馬車を横目でみやると、突然、馬車が停止した。そして、止まったと同時に、中から転がり出るようにひとりの少女が現れた。
少女は護衛の男たちが止めるのも聞かず、ドレスの裾を膝までたくし上げ、慌てた顔で真っ直ぐこちらに向かって走ってくる。
驚いたことに、足元を見ると裸足だった。
彼女がトランティア家唯一の跡継ぎである少女。
噂では、トランティア家のサラは少々変わり者だと聞く。しかし、変わり者というよりも……いや、こんな自分を好きだと言うのだからやはり変わり者なのだろう。

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