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令嬢は元暗殺者に恋をする
第68章 出会った場所で
「……どうしてっ!」
声を振り立て、握ったこぶしを力の限り木に叩きつけた。
幹の表面がぱらぱらと崩れ落ちる。
ずきりと手の指が痛んだ。
その痛みが、やりきれない胸の痛みと重なり顔を歪める。
胸の痛みをどこかへ押しやろうと、もう一度こぶしを振り上げた。
が、その手が虚空で止まった。
心の空爆にいいようのない虚しさが広がっていく。
力なく腕をたらし、木にひたいを添えふっと笑うと、そのまま崩れるように地に膝をつき、木に背中をあずけ座り込む。
ハルはきつく手を握りしめ震わせた。
光を求めようとしたこの身を縛りつけるかのように、見えない鎖に絡め取られ身動きができなくなって、さらなる深い闇に沈んでいく。
それは、断ち切ることのできない運命という名の強固な鎖。
どんなに抗っても。
抜け出せない。
断ち切れない。
人殺しであるおまえが人並みの幸せなど許されると思っているのか、おまえにそれを望む資格はない。
何を勘違いしていた。現実を思い知れと突きつけられたようで。
ならば何故、サラと俺を出会わせたというのか。
あまりにも残酷な運命ではないか。
声を振り立て、握ったこぶしを力の限り木に叩きつけた。
幹の表面がぱらぱらと崩れ落ちる。
ずきりと手の指が痛んだ。
その痛みが、やりきれない胸の痛みと重なり顔を歪める。
胸の痛みをどこかへ押しやろうと、もう一度こぶしを振り上げた。
が、その手が虚空で止まった。
心の空爆にいいようのない虚しさが広がっていく。
力なく腕をたらし、木にひたいを添えふっと笑うと、そのまま崩れるように地に膝をつき、木に背中をあずけ座り込む。
ハルはきつく手を握りしめ震わせた。
光を求めようとしたこの身を縛りつけるかのように、見えない鎖に絡め取られ身動きができなくなって、さらなる深い闇に沈んでいく。
それは、断ち切ることのできない運命という名の強固な鎖。
どんなに抗っても。
抜け出せない。
断ち切れない。
人殺しであるおまえが人並みの幸せなど許されると思っているのか、おまえにそれを望む資格はない。
何を勘違いしていた。現実を思い知れと突きつけられたようで。
ならば何故、サラと俺を出会わせたというのか。
あまりにも残酷な運命ではないか。

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