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令嬢は元暗殺者に恋をする
第70章 戦い前夜
「誰にものを言っている。おまえに言われるまでもない」

「そうだな……そうだったな」

 しぶしぶといった態ではあるが、もはやこれ以上は何も言うまいと、シンは緩やかに首を横に振る。

「それよりも、安心した。さっきまでひどく思いつめた顔をしていたから。やっと、いつもの表情に戻ったな。本意とは言いがたいが、おまえの言うとおりにするよ。それに、カイの奴が……」

 数日前、カイに自分の身によくないことが起こる。

 だから、人の意見には耳を傾けろと忠告を受けたことはハルの与り知らぬこと。

「ま、おまえにとってはどうでもいいことだな。俺もまだ死にたくないし」

 笑いながら死にたくはないと言うが、たとえ、その身を犠牲にしてでも、まして、それが好きな女のためならば、死すらも恐れず立ち向かっていく男だ。

 シンはそういう男。

「カーナの森に他の誰も立ち入らせなければいいんだな」

「わずかな時間でいい。すぐに終わらせる」

「二十人の手練れ相手に、わずかな時間でいいとは……」

 できるか? と、目で問うハルに、腕を組んだシンは片目をすがめる。

「それこそ、誰に向かってものを言っている?」

 いったん言葉を切ったシンは、鋭い眼差しでハルを見下ろす。

「裏街の男百余名を、おまえのために動かしてやる」

 頼もしいシンの言葉にハルは細く息をもらす。
 それは安堵の息。

 シンを頭に抱く裏街の男たちが、総力をあげてカーナの森の入り口を制御してくれるだろう。
 まさに、シンにできて自分にはできないことだ。
 これで、誰を巻き込むこともなく、戦いに集中することができる。
 だが……。

「おまえの仲間は俺のために手をかしてくれるだろうか」

 裏街の人間に自分はいい印象はないはず。
 ひどく疎まれているのは知っている。
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