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令嬢は元暗殺者に恋をする
第74章 最後の告白
「私のせいでハルを巻き込んでしまったのね。こうなってしまったのもすべて私のせいだわ。ハルの存在をあの男に知られてしまったから。だから、あの男はハルのことを……」

「違うよ。そうではない」

 自分のせいでこうなってしまったと思い込んでいるサラに、そうではないのだとハルは首を振る。

 俺が不甲斐ないだけだ。
 もしあの時、サラを屋敷に帰さなければ。
 躊躇せず、あのまま連れ出す決心をしていたならば。

 そうしていたなら、この状況は少しは変わっていただろうか。
 変えることができただろうか。
 すべては自分のせい。

 決断を見誤ってしまった自分が招いた結果だ。

「ハルが死んでしまう」

「どうして? 俺は死なないよ。死ぬわけがないだろう?」

「ハルが死んでしまったら、私も死ぬ」

「どうやって?」

「舌を噛んで死ぬわ!」

「舌を噛んだくらいでは簡単には死ねないよ」

「だったら! 短剣で胸を貫いて……」

「心臓はここ」

 サラの胸にハルは指先をあてる。

「躊躇うことなく正確に貫くことができる? その覚悟がある?」

 ハルはぐっとサラの胸に指先を押しつける。
 その指先にとくとくとサラの心臓の鼓動が伝わってくる。

「そうでないと、死にきれずに苦しむだけだよ」

 サラは息を飲み、顔を青ざめさせた。

「で、できるわ!」

 くすっと笑ってサラの髪をなでる。
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