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令嬢は元暗殺者に恋をする
第74章 最後の告白
ハルはゆっくりと上着に手をかけ脱ぎ落とした。
ゆるりと肩から落ちたその下は、袖のない黒い衣服という身軽な恰好。
あらわになった左上腕部には、レザンの暗殺者である証拠の花の入れ墨を隠した黒い布が巻きつけられていた。
さらに、右の手首にはサラの部屋に落ちていた藍色のリボンが結ばれていた。
それを見つけたサラはあっと声を上げる。
「片方のリボン、ハルが持っていたの?」
「あの晩、サラの部屋に落ちていたのを見つけた」
「そうだったのね。私、なくしてしまったのかと思って。よかった……私もちゃんと持ってるのよ」
サラは握りしめていた手の中のリボンに視線を落とす。
その手からリボンをするりと抜き取ると、ハルはサラの細い右手首に結んだ。
「もう片方のリボン、後で返すから。それまで俺が持っていてもいい?」
「絶対に返して。ハルの手から必ず……大切なリボンなの。ハルからもらった初めての贈りものだから。返して……お願い」
「約束」
ハルは立てた小指をサラの目の前に差し出した。その指にサラの小指が絡む。
「約束よ」
風に揺れてなびく互いの手首に巻いた藍色のリボンの端が絡み合う。
それはまるで、決して二人を離さないというかのように。
絡んだ小指をハルは口許に持っていくと、サラの指に口づけをする。
ゆるりと肩から落ちたその下は、袖のない黒い衣服という身軽な恰好。
あらわになった左上腕部には、レザンの暗殺者である証拠の花の入れ墨を隠した黒い布が巻きつけられていた。
さらに、右の手首にはサラの部屋に落ちていた藍色のリボンが結ばれていた。
それを見つけたサラはあっと声を上げる。
「片方のリボン、ハルが持っていたの?」
「あの晩、サラの部屋に落ちていたのを見つけた」
「そうだったのね。私、なくしてしまったのかと思って。よかった……私もちゃんと持ってるのよ」
サラは握りしめていた手の中のリボンに視線を落とす。
その手からリボンをするりと抜き取ると、ハルはサラの細い右手首に結んだ。
「もう片方のリボン、後で返すから。それまで俺が持っていてもいい?」
「絶対に返して。ハルの手から必ず……大切なリボンなの。ハルからもらった初めての贈りものだから。返して……お願い」
「約束」
ハルは立てた小指をサラの目の前に差し出した。その指にサラの小指が絡む。
「約束よ」
風に揺れてなびく互いの手首に巻いた藍色のリボンの端が絡み合う。
それはまるで、決して二人を離さないというかのように。
絡んだ小指をハルは口許に持っていくと、サラの指に口づけをする。

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