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令嬢は元暗殺者に恋をする
第75章 戦い -1-
暗殺組織を抜け、故郷であるレザン・パリューの地から逃れこの国にたどり着いて間もない頃、偶然、町で彼女と出会った。
町娘に身を扮していたが、一目で彼女が何者かを知ることができた。
長い黒髪に凛とした光を放つ漆黒の瞳。
彼女との出会いを話せば長くなる。
が、サラと同様また運命の出会いだったのかもしれない。
彼女には自分の素性を話した。
話してしまったのは成り行きだ。
それでも、恐れる素振りを見せず、真摯な目で毅然とした姿で自分を見つめ返し、俺の力が欲しいと言ってくれた。
どうか力を貸して欲しい、と。
すまない。
心の中で彼女に詫びる。
この戦いが終わった後、自分はアルガリタの国を離れることになるだろう。
その身に何かあった時には必ず駆けつけると約束した。
けれど、その約束はどうやら果たせそうにもない。
ハルは懐に視線を落とす。
だが、必ずその手にあの男から奪った毒の小瓶を、言い逃れのできない証拠とともに届けることを約束しよう。
そして、偽りの女王自らこの国の法を犯しているという罪をその手で暴いて糾弾しろ。
いや……。
こんな些細なことで、イザーラを追いつめるには不十分な証拠かもしれない。
それでも、世間に何かしらの波紋を投げかけることは可能なはず。
あなたなら、できるだろう?
アリシア。
未来のアルガリタの女王。
あなたが進む先にも、光さす明るい未来があることを俺は信じている。
そのためにも──。
町娘に身を扮していたが、一目で彼女が何者かを知ることができた。
長い黒髪に凛とした光を放つ漆黒の瞳。
彼女との出会いを話せば長くなる。
が、サラと同様また運命の出会いだったのかもしれない。
彼女には自分の素性を話した。
話してしまったのは成り行きだ。
それでも、恐れる素振りを見せず、真摯な目で毅然とした姿で自分を見つめ返し、俺の力が欲しいと言ってくれた。
どうか力を貸して欲しい、と。
すまない。
心の中で彼女に詫びる。
この戦いが終わった後、自分はアルガリタの国を離れることになるだろう。
その身に何かあった時には必ず駆けつけると約束した。
けれど、その約束はどうやら果たせそうにもない。
ハルは懐に視線を落とす。
だが、必ずその手にあの男から奪った毒の小瓶を、言い逃れのできない証拠とともに届けることを約束しよう。
そして、偽りの女王自らこの国の法を犯しているという罪をその手で暴いて糾弾しろ。
いや……。
こんな些細なことで、イザーラを追いつめるには不十分な証拠かもしれない。
それでも、世間に何かしらの波紋を投げかけることは可能なはず。
あなたなら、できるだろう?
アリシア。
未来のアルガリタの女王。
あなたが進む先にも、光さす明るい未来があることを俺は信じている。
そのためにも──。

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