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令嬢は元暗殺者に恋をする
第75章 戦い -1-
雲が流れ月が隠れた。
落ちた闇の中、ハルは口許に静かな笑みを刻み。
地を蹴った。
「はひっ!」
おかしな声を上げたのはファルクであった。
ハルが向かったその先に三人の暗殺者の姿。
彼らは動かない。
いや、真っ先に自分たちが標的にされたのだと気づいた時にはもう……。
闇夜に銀の軌跡を描いて三度閃くハルの剣。
その剣筋に迷いはなく、慈悲もない。
直後、三人の暗殺者が声を発することもなく、どさりと地面に崩れ落ちる。
まともにハルが繰り出した剣を目で追うことができた者はいるだろうか。
おそらく否。そこで、ようやくハルの出方をうかがっていた残りの暗殺者たちもいっせいに動き出した。
一人目の暗殺者が声もなく攻め込む。
その攻撃を軽くいなして、最初の一撃を相手の心臓目がけて貫く。
低い呻き声を上げる敵を後方へと足で蹴り倒し、刺さった剣を抜き、抜いた刃で後方から迫る敵を息もつかぬ速さで薙いでいく。
剣の軌跡をたどって鮮血が舞う。
まるで無残に散らされた真紅の薔薇の花びらが虚空を彩るように。
濡れて赤く、鮮やかに。
さらに、踏み込んできた二人のを刃を打ち交わすこともなく地に伏した。
剣を横に一閃させた状態で地に片膝をつき、ハルはひとつ浅い呼吸を落とす。
剣を握る右手首に、藍色のリボンが風にひらりと揺れる。
落ちた闇の中、ハルは口許に静かな笑みを刻み。
地を蹴った。
「はひっ!」
おかしな声を上げたのはファルクであった。
ハルが向かったその先に三人の暗殺者の姿。
彼らは動かない。
いや、真っ先に自分たちが標的にされたのだと気づいた時にはもう……。
闇夜に銀の軌跡を描いて三度閃くハルの剣。
その剣筋に迷いはなく、慈悲もない。
直後、三人の暗殺者が声を発することもなく、どさりと地面に崩れ落ちる。
まともにハルが繰り出した剣を目で追うことができた者はいるだろうか。
おそらく否。そこで、ようやくハルの出方をうかがっていた残りの暗殺者たちもいっせいに動き出した。
一人目の暗殺者が声もなく攻め込む。
その攻撃を軽くいなして、最初の一撃を相手の心臓目がけて貫く。
低い呻き声を上げる敵を後方へと足で蹴り倒し、刺さった剣を抜き、抜いた刃で後方から迫る敵を息もつかぬ速さで薙いでいく。
剣の軌跡をたどって鮮血が舞う。
まるで無残に散らされた真紅の薔薇の花びらが虚空を彩るように。
濡れて赤く、鮮やかに。
さらに、踏み込んできた二人のを刃を打ち交わすこともなく地に伏した。
剣を横に一閃させた状態で地に片膝をつき、ハルはひとつ浅い呼吸を落とす。
剣を握る右手首に、藍色のリボンが風にひらりと揺れる。

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