この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第75章 戦い -1-
ひっ、と悲鳴を上げ、車体の蔭から怖々とこちらを見るファルクを、ハルは息一つ乱さず、冷めた眼差しで見返す。
落ちる月影に映える凄艶なハルの笑み。
そのどこか妖しげな笑みに、思わずファルクは表情とともに背筋を凍らせた。
舐めるように刃を伝い血の滴が一滴二滴としたたり落ち、大地を赤黒く染めた。
敵の放った矢を、ハルが交わしたところでサラは肩の力を抜く。
ハルの戦いを食い入るように見つめていたサラは、息をするのも忘れていたことに気づき、苦しさに喘いで空気を求めて大きく息を吸う。
途端、吐き気を覚え慌てて口許に手をあてた。
そろりと視線を上げると、見上げた月が赤い。
違う。
赤いのは──。
血。
落ちる月影に映える凄艶なハルの笑み。
そのどこか妖しげな笑みに、思わずファルクは表情とともに背筋を凍らせた。
舐めるように刃を伝い血の滴が一滴二滴としたたり落ち、大地を赤黒く染めた。
敵の放った矢を、ハルが交わしたところでサラは肩の力を抜く。
ハルの戦いを食い入るように見つめていたサラは、息をするのも忘れていたことに気づき、苦しさに喘いで空気を求めて大きく息を吸う。
途端、吐き気を覚え慌てて口許に手をあてた。
そろりと視線を上げると、見上げた月が赤い。
違う。
赤いのは──。
血。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


