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令嬢は元暗殺者に恋をする
第76章 戦い -2-
最強ともいわれるレザンの暗殺者。
しかし、彼らの目の前に立つ人物は──。
月華にことさら映える端整な顔貌。
見る者を捕らえ引き込む深い藍色の瞳。
しなやかな細身の身体。殺しなど無縁と思われる妖艶な姿。
だが、暗殺者たちの目の前に現れた少年は、この世でもっとも危険な……危険すぎる存在であった。
ハルはうっすらと口許に笑みを浮かべるだけ。
その笑みすら艶やかで、この場にそぐわない色香さえ感じさせた。
レザンの暗殺者かと問いかける相手にハルは肯定も否定もしない。
腕の入れ墨を隠していたのは、すでに組織から抜けた身であり、組織から負われている立場だから。
だが、そのこともいっさい口にしない。
語る必要はない。
武器をかまえたままではあるが、もはや暗殺者たちに戦う意志はなく、その証拠に彼らは目の前の殺戮者を刺激しないよう、ゆっくりと静かに、一歩、二歩と後ずさる。
「敵を死に誘う黒い疾風……」
そこへ、馬車にしがみついていたファルクがぽつりと呟いた。
ファルクの屋敷から去る間際、ハルが残していった言葉だ。おそらく何とはなしに呟いたのであろう。
しかし、それを耳にした暗殺者たちは揃って引きつった笑いをこぼす。
しかし、彼らの目の前に立つ人物は──。
月華にことさら映える端整な顔貌。
見る者を捕らえ引き込む深い藍色の瞳。
しなやかな細身の身体。殺しなど無縁と思われる妖艶な姿。
だが、暗殺者たちの目の前に現れた少年は、この世でもっとも危険な……危険すぎる存在であった。
ハルはうっすらと口許に笑みを浮かべるだけ。
その笑みすら艶やかで、この場にそぐわない色香さえ感じさせた。
レザンの暗殺者かと問いかける相手にハルは肯定も否定もしない。
腕の入れ墨を隠していたのは、すでに組織から抜けた身であり、組織から負われている立場だから。
だが、そのこともいっさい口にしない。
語る必要はない。
武器をかまえたままではあるが、もはや暗殺者たちに戦う意志はなく、その証拠に彼らは目の前の殺戮者を刺激しないよう、ゆっくりと静かに、一歩、二歩と後ずさる。
「敵を死に誘う黒い疾風……」
そこへ、馬車にしがみついていたファルクがぽつりと呟いた。
ファルクの屋敷から去る間際、ハルが残していった言葉だ。おそらく何とはなしに呟いたのであろう。
しかし、それを耳にした暗殺者たちは揃って引きつった笑いをこぼす。

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