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令嬢は元暗殺者に恋をする
第76章 戦い -2-
一本の矢を口にくわえ、残りの一本を弓につがえた。
そうして凄まじい勢いで走り去っていく敵に狙いを定め目を細めた。
最初の一矢が凄まじい勢いで夜の虚空へと放たれていく。さらに、続けて残りの一本を解き放った時、弓の弦が弾け切れた。
逃げていく二人の男たちが地面に倒れるのを確認すると、逃げ出すことができずこの場に残された暗殺者の男を静かな眼差しで見下ろす。
「他に……他に生きている者は……いないのかっ!」
腰を抜かしてへたりこむその暗殺者は、せわしなく目を動かし辺りを見渡す。
男の目に映ったのは地に転がる同胞の無残な屍。
男は自分の側でうつぶせで横たわっている仲間の身体に怖々と触れ、揺さぶってみせる。
「おい……」
倒れた仲間の腹から、じわりとにじみ大地を染める赤い血溜まり。
呼びかけるが返事をすることはなかった。
生き残っている者は誰もいない。
「たす……助けて……」
手にした弓を放り投げ、再び剣を拾うと、顔色を失い怯えるその男に一歩一歩近づいていく。
ハルが足を踏み出すごとに、男は腰を抜かし尻をついた状態で距離をとろうと後ろへさがる。
そうして凄まじい勢いで走り去っていく敵に狙いを定め目を細めた。
最初の一矢が凄まじい勢いで夜の虚空へと放たれていく。さらに、続けて残りの一本を解き放った時、弓の弦が弾け切れた。
逃げていく二人の男たちが地面に倒れるのを確認すると、逃げ出すことができずこの場に残された暗殺者の男を静かな眼差しで見下ろす。
「他に……他に生きている者は……いないのかっ!」
腰を抜かしてへたりこむその暗殺者は、せわしなく目を動かし辺りを見渡す。
男の目に映ったのは地に転がる同胞の無残な屍。
男は自分の側でうつぶせで横たわっている仲間の身体に怖々と触れ、揺さぶってみせる。
「おい……」
倒れた仲間の腹から、じわりとにじみ大地を染める赤い血溜まり。
呼びかけるが返事をすることはなかった。
生き残っている者は誰もいない。
「たす……助けて……」
手にした弓を放り投げ、再び剣を拾うと、顔色を失い怯えるその男に一歩一歩近づいていく。
ハルが足を踏み出すごとに、男は腰を抜かし尻をついた状態で距離をとろうと後ろへさがる。

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