この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第76章 戦い -2-
「ま、待ってくれ! 話を聞いてくれ! まさか、レザンの暗殺者がかかわっていたとは知らなかったんだ……ほんとう、だ。おまえ、言葉わかるか? 俺、レザン、言葉、喋ることできない……」
必死で訴える男だが、ハルがアイザカーン語を理解することができないと思ったのだろう。
はっと気づいて途中からたどたどしいアルガリタの言葉に切りかえる。
けれど結局、必死で自分の言葉を伝えようとするがため、自国語に戻ってしまった。
「知っていたら……おまえに剣を向けることはしなかった。いや、そもそもこんな依頼など組織は受けなかったはず。頼む。おまえのことは誰にも口外はしない。俺は口が堅いんだ。本当だ。約束する。だから、命だけは……」
男の懇願はそこで途切れた。
閃いたハルの剣が暗殺者の命乞いを、その命ごと容赦なくはねつけた。
何故だといわんばかりに大きく目を見開き、男はその場に倒れる。
ぴくりと男の手足が数回痙攣して……そしてやがて、その身体は動かなくなった。
「何てことだ……雇った暗殺者が全員……」
殺されてしまったと、声にならない声で呟き、ファルクは馬車に背をつきずるずると足元を崩して座り込む。
ファルクにとっては思いもよらぬ結末であっただろう。
取り戻す夜の静寂に落ちた沈黙。
何もかも、すべてが終わったかのように思われた。
必死で訴える男だが、ハルがアイザカーン語を理解することができないと思ったのだろう。
はっと気づいて途中からたどたどしいアルガリタの言葉に切りかえる。
けれど結局、必死で自分の言葉を伝えようとするがため、自国語に戻ってしまった。
「知っていたら……おまえに剣を向けることはしなかった。いや、そもそもこんな依頼など組織は受けなかったはず。頼む。おまえのことは誰にも口外はしない。俺は口が堅いんだ。本当だ。約束する。だから、命だけは……」
男の懇願はそこで途切れた。
閃いたハルの剣が暗殺者の命乞いを、その命ごと容赦なくはねつけた。
何故だといわんばかりに大きく目を見開き、男はその場に倒れる。
ぴくりと男の手足が数回痙攣して……そしてやがて、その身体は動かなくなった。
「何てことだ……雇った暗殺者が全員……」
殺されてしまったと、声にならない声で呟き、ファルクは馬車に背をつきずるずると足元を崩して座り込む。
ファルクにとっては思いもよらぬ結末であっただろう。
取り戻す夜の静寂に落ちた沈黙。
何もかも、すべてが終わったかのように思われた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


