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令嬢は元暗殺者に恋をする
第78章 戦い -4-
「ハルがその剣をおさめてくれない限りどかないわ。絶対に!」
絶対に、を強調してサラは言い放つ。
ハルはまなじりを細めた。
こうなってしまったらサラも強情だ。
何を言っても、この場から退こうとはしないだろう。
自分があきらめるか、あるいは、サラを強引に退かせるか。
選択は二つ。
どちらを選ぶかなど迷うまでもない。
「ねえ、お姉さん」
不意に、後ろの少年に呼びかけれサラは何? と、表情を険しくさせ振り返る。とはいえ、相手は異国語。
サラに少年の言葉は通じない。
「もしかしてお姉さん、俺のことかばってくれているの? どうして、俺なんかを?」
もしかしなくても、この状況をみればあきらかだ。
けれど、サラからみれば自分は敵。
その敵である自分をかばおうとするなど、少年にはサラの行動が理解できなかった。
「何を言ってるのか全然わからないけど、あなたは黙っていて! 絶対にあなたのこと殺させはしないから!」
当然ながら、少年もサラが何を言い返してきたのかわからず途方に暮れる。
サラの視線が再びハルを射る。
流れる空気は否応なしにぴりぴりと張りつめ、サラの背後にいる少年は身を切り裂くような緊張感に息を殺し、ハルとサラ、二人を交互に見やる。
「そいつは殺さなければならない」
「敵だから? でも、この子にはもう戦う意思はない。それはハルだってわかるでしょう?」
そうではないのだ。
その子どもを生かせば、自分もそしてサラにも、この先の未来に影を落とすことになる。
「なら、今度こそサラに眠ってもらわなければならないよ。いいね」
「さっきはあきらめたって言ったわ」
「サラがあまりにも聞きわけがないから」
「いやよ!」
「いやならそこをどいて」
「それもいや!」
ただひたすらサラはいや、と首を振るだけ。
「そう」
低い声を落とすハルの顔からすっと笑みが消えた。
絶対に、を強調してサラは言い放つ。
ハルはまなじりを細めた。
こうなってしまったらサラも強情だ。
何を言っても、この場から退こうとはしないだろう。
自分があきらめるか、あるいは、サラを強引に退かせるか。
選択は二つ。
どちらを選ぶかなど迷うまでもない。
「ねえ、お姉さん」
不意に、後ろの少年に呼びかけれサラは何? と、表情を険しくさせ振り返る。とはいえ、相手は異国語。
サラに少年の言葉は通じない。
「もしかしてお姉さん、俺のことかばってくれているの? どうして、俺なんかを?」
もしかしなくても、この状況をみればあきらかだ。
けれど、サラからみれば自分は敵。
その敵である自分をかばおうとするなど、少年にはサラの行動が理解できなかった。
「何を言ってるのか全然わからないけど、あなたは黙っていて! 絶対にあなたのこと殺させはしないから!」
当然ながら、少年もサラが何を言い返してきたのかわからず途方に暮れる。
サラの視線が再びハルを射る。
流れる空気は否応なしにぴりぴりと張りつめ、サラの背後にいる少年は身を切り裂くような緊張感に息を殺し、ハルとサラ、二人を交互に見やる。
「そいつは殺さなければならない」
「敵だから? でも、この子にはもう戦う意思はない。それはハルだってわかるでしょう?」
そうではないのだ。
その子どもを生かせば、自分もそしてサラにも、この先の未来に影を落とすことになる。
「なら、今度こそサラに眠ってもらわなければならないよ。いいね」
「さっきはあきらめたって言ったわ」
「サラがあまりにも聞きわけがないから」
「いやよ!」
「いやならそこをどいて」
「それもいや!」
ただひたすらサラはいや、と首を振るだけ。
「そう」
低い声を落とすハルの顔からすっと笑みが消えた。

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